サイバーセキュリティ株式オープン(投資信託)の今後を読み解く。評判・口コミ通りのリターンなのか?

日本の投資信託(含むETF)分析

【ブログ解説】投資信託「サイバーセキュリティ株式オープン」の今後の見通しを読み解く。掲示板での評判や口コミ通りのリターンなのか?

2022年7月7日

時代に合わせて領域に特化した「テーマ型」の投資信託は次々と生まれていきます。

今回は流行りの「サイバーセキュリティ」をテーマとし、サイバーセキュリティ関連株をポートフォリオの中心に据えたサイバーセキュリティ株式オープンを取り上げます。

 

サイバーセキュリティに関しては2000年代前半より話題であり、昨今の巣篭もりでさらに脚光を浴びました。

リモートワークをするワーカーが増えれば、それだけリスクも増えますよね。

当ファンドが、投資対象として検討して良い商品なのかどうかを見ていきたいと思います。

 

サイバーセキュリティ株式オープンとは?

概要

商品分類:

  • 単位型・ 追加型:追加型
  • 投資対象 地域:内外
  • 投資対象資産 (収益の源泉):株式

属性区分:

  • 投資対象資産:その他資産 (投資信託証券 (株式 一般))
  • 決算頻度:年1回
  • 投資対象地域:グローバル (含む日本)
  • 投資形態:ファミリー ファンド
  • 為替ヘッジ:なし

 

ファミリーファンドでグローバル投資を行う投資ファンドであることは把握できました。詳細を見ていきましょう。

 

ファンドの特色と組入銘柄:サイバーセキュリティ関連企業へ投資

サイバーセキュリティ銘柄への投資を行うファンドです。

サイバーセキュリティというとあまり馴染みのない言葉ですが、ここではサイバー攻撃に対するセキュリティ技術を有し、これを活用した製品・サービスを提供するテクノロジー関連の 企業等に投資するとしています。

 

Covidパンデミックにより、巣篭もりが増え、人々の間でインターネットに繋いで仕事をすることはこれまで以上に普通になりました。

インターネットを利用する人数、時間が増えるということは、それだけ情報の流出などのリスクなどが発生する頻度も多くなります。

そんな時代の変化に適応するために、サイバーセキュリティ技術は必要不可欠になりましたね。

 

それではサイバーセキュリティ株式オープンの具体的なポートフォリオを見ていきましょう。最新の2023年1月末の情報です。まずは業種です。5月末より大きく変わってはいません。

業種 比率
1 ソフトウェア・サービス 70.3
2 テクノロジ・ハードウェア・機器 12.6
3 半導体・半導体製造装置 6.8
4 メディア・娯楽 2.2
5 不動産 0.5

 

以下は構成上位銘柄の推移です。マイクロソフトがずっと王者として君臨していますね。

ただ2022年5月からずっと10位以内をキープしているのはマイクロソフト以外だとパロアルトネットワークス、ゼットスケーラーというセキュリティ専門企業のみとなっています。

結構、入れ替えをしていることが読み取れますね。

 

2023年1月 2022年9月 2022年5月
1 マイクロソフト マイクロソフト マイクロソフト
2 パロアルトネットワークス フォーティネット パロアルトネットワークス
3 ジェン・デジタル パロアルトネットワークス フォーティネット
4 ゼットスケーラー ゼットスケーラー クラウドストライク・ホールディングス
5 サイバーアーク・ソフトウェア クラウドストライク・ホールディングス ノートンライフロック
6 スプランク ノートンライフロック アルファベット
7 シスコシステムズ アップル アップル
8 ブロードコム データドッグ データドッグ
9 ノウビー4 サイバーアーク・ソフトウェア ゼットスケーラー
10 サービスナウ アリスタ・ネットワークス マイクロン・テクノロジー

 

マイクロソフトが上位に入っており、サイバーセキュリティ分野にも進出しており本当にソフトウェアの王者ですね。

 

すべてを保護するセキュリティ-マイクロソフト

 

株価は2022年の年初来-30%です。金融引き締めはソフトウェアの巨人でさえ、抗えません。

マイクロソフトの株価推移

 

ずっと上位にいたセキュリティ関連の新しい有望な企業であるCRWDはここ1年の暴落によって圏外となっています。

CRWDの株価推移

 

 

ファンドの特色:アリアンツ・グローバル・ 2 インベスターズU.S.LLCが実質的な運用

最近分析したグローバルAIファンドと同様、アリアンツの運用になります。

アリアンツGIのホームページ

 

本社はアメリカのサンフランシスコにあります。2021年に少なくとも25件の訴訟が投資家によってアリアンツ・グローバルに対して起こされ、総額60億ドルの賠償金を求められた事案が直近では有名ですね。

世界的な(ドイツの)保険グループ傘下の運用会社ではあります。

 

<運用プロセスのイメージ>

 

サイバーセキュリティ株式オープンの手数料

アクティブファンドであり、アリアンツの助言も受けているのでインデックスファンドに比べると当然高くなります。

しかし、テーマは個人投資家が選ばなければならないので、その点は割高に感じますね。

サイバーセキュリティ株式オープンの購入手数料は購入時の基準価額に対して3.3%(税込)、信託報酬が年率1.870%(税込)となります。

 

予想分配提示型とは?

予想分配掲示型とは、基準価額に応じて分配金を分配する仕組みです。

各ファンドおよび「サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジあり)予想分配金提示型」・「サイバーセキュリティ株式 オープン(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の間でのスイッチングが可能です。

 

予想分配型

 

筆者であれば、分配金なしを選択します。複利効果を毀損するような行動は資産を育てるにあたり弊害となります(分配を受け取る度に分離課税がかかってくる)。

 

 

サイバーセキュリティ株式オープンの基準価格チャート推移!利回りとリスク(運用実績)とは?

サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジあり)

 

基準価額は2020年の金融緩和の追い風を受けながらも2017年から運用を開始して1.5倍程度の水準です。少し物足りないですね。

まだ10年も経過していないファンドなので、真の実力は測れませんが直近のパフォーマンスは以下です。

 

金融引き締めはまだまだ続きます。今からサイバーセキュリティファンドを購入するという判断には中々ならないのではないでしょうか。

結局異次元金融緩和で特大のリターンを出したものも全て吐き出してしまっています。

 

1カ月 3カ月 6カ月 1年 3年 設定来
トータルリターン 3.8% -14.7% -14.7% -21.0% 29.1% 108.5

 

 

ナスダック総合指数(=インデックス)との比較

ハイテク銘柄が主力の指数であるナスダックと比較すると以下のような結果です。

サイバーセキュリティ株式オープンとナスダックの比較

 

ほぼ同様のリターンとなっていますね。一進一退といったようなパフォーマンスの競争をしています。

テーマ型であれば株価指数は大きく差を突き放してほしいところですが。

 

サイバー セキュリティ株式 オープンの掲示板での評判

金融政策にパフォーマンスが依存し、調子がしばらく悪そうですが評判はどのようになっているのでしょうか。

 

 

下落局面なので良い口コミはほぼないのですが、上記の評判が、テーマ投信の購入に如何に高度なマクロ経済知識が必要かが表れていますね。

基本的に、テーマ投信は難易度が高い投資ですので、相当な相場経験を持ち合わせていない限り、手を出すべきではないと思います。Yahoo!ファイナンスの掲示板も覗いてみましたが、Twitterと同じような口コミが散見されました。

 

大幅下落の要因と今後の見通しとは?

ではサイバーセキュリティ株式オープンの下落要因についてお伝えします。

サイバーセキュリティー関連銘柄はハイテクグロース銘柄となっています。つまり将来の利益を見込んで株価が値付けされているということになります。

そのため長期金利の水準というのが非常に重要になってきます。

 

なぜなら将来の利益を現在時点の価値に割り引くのに主に用いるのが金利だからです。

金利が上昇すればグロース企業の株価は下落し、金利が下落すればグロース企業の株価は上昇します。

以下は米国の10年債金利の推移です。

 

米10年債金利の推移

 

 

2022年にはいってから急激に上昇していますね。2023年の現在でも金利は高い水準を維持しています。

2020年のパンデミック以降の各政府と中央銀行のバラマキによって猛烈なインフレが発生してしまったため2022年から急速に引き締めを行なっているのです。

その結果、特にグロース株を中心に大きく下落していったのです。

 

2022年末からインフレ率は下落してきましたが2023年に入り再燃する勢いとなっています。

まだまだ金融引き締めは続いていきます。このような局面でグロース株を多く組み入れているファンドに投資するのは得策とはいえないでしょう。

 

まとめ

サイバーセキュリティ株式オープンについてまとめてきました。

ナスダックにパフォーマンスは類似しており、まさに米国の金融政策動向次第で高いボラティリティが発生するファンドであることがわかりました。

金融政策に相当にパフォーマンスが依存していますので、金融引き締めが続くであろう2022年、2023年に購入を検討することはまずないファンドであることを筆者は理解できました。

締め括り

 

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おすすめ投資先ランキング

長期で資産を着実に育てる

 

資産運用で資産を増やす方法は様々あります。効率を求めるのであれば、株式投資が最良の選択肢であることは疑いようのない事実です。

過去の歴史を見ると、それは火を見るより明らかです。「市場が伸びるところ」が最も効率よいです。苦労なく成果を挙げられます。

 

各資産の超長期リターン

 

しかし、株式投資も医者になるくらい勉強をしなければ勝てません。であれば、我々は早々にリスクの高い個別株投資という選択肢は捨てるべきです。

そして、投資のプロが運用する「ファンド」(投資信託、ETF、ヘッジファンド)を選ぶべきなのです。

ここでファンド選びが最も大切です。長年、筆者も資産運用を実施してきました。

 

結局は絶対にマイナスになる年を作らない、小さい利回りでも良いのでしっかりプラスを出す、それを長年続けるファンド。このようなファンドを活用することがベストプラクティスであり、正しい資産運用です。資産が強烈に伸びていきます。

 

上記の条件を主眼に置きながら、筆者のポートフォリオを構成するファンドを中心にランキング記事を作成してみましたので参考にしてみてください。

 

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