セゾン投信は「ひふみ投信」や「さわかみ投信」と並んで日本の有望な独立系の投資信託です。
セゾン投信と一言にいっても以下の二つの投信が存在しています。
本日は、セゾン投信の中でも評判の高い「セゾン資産形成の達人ファンド」について取り上げていきたいと思います。
純資産額は上昇し、運用資産残高は2200億円にまで膨れ上がっています。
しかし、2022年は正直申し上げて今までの成績が良くなってきているからといって、セゾン資産形成の達人ファンドに投資をするのは危険な環境になっています。
本日は達人ファンドの特徴についてお伝えした上で、成績や実績そして重要な今後の見通しについて他の株価指数と比較しながら見ていきたいと思います。
セゾン資産形成達人ファンドの特徴とは?
まずセゾン資産形成の達人ファンドの特徴についてお伝えしていきたいと思います。
名前が長いので今回の記事では「達人ファンド」と呼ばせていただきます。
ファンド・オブ・ファンズ形式で運用
達人ファンドは、達人ファンドが投資信託に分散投資をするという「ファンド・オブ・ファンズ形式」で運用しています。
じゃあ、直接投資家がファンドに投資すればいいのでは?
という疑問も起こりそうですが、達人ファンドが投資しているファンドは個人はアクセスすることができません。
アセマネ会社が機関投資家向けに組成しているファンドなのです。
他のファンドオブファンズ形式で運用されているファンドも取り上げていますので参考にしていただければと思います。
組み入れている投資信託はアクティブ型
達人ファンドが組み入れている投資信託はアクティブ型の投資信託です。
→ インデックス型投信(=パッシブ)とアクティブ型投資信託はどっちがおすすめ?成績や手数料を中心に金融庁データをもとに徹底比較!
アクティブ型投信は対象とする指数に対してオーバーパフォームすることを目的とした投信です。
組み入れているファンドのリターンは以下の通りとなっています。なかなか優秀な成績を残していますね。
一方の、セゾン投信のもう一つのシリーズであるセゾンバンガードグローバルバランスファンドはインデックス型の投資信託を組み入れています。
組入国別比率を世界株指数と比較
達人ファンドとMSCI All Country World Indexの国別構成比率の比較は以下となります。
達人ファンドは米国を少なく、一方相対的に割安な日本や欧州を多く組み入れていることが分かります。
達人ファンド | MSCI All Country World Index | |
米国 | 42.30% | 60.40% |
日本 | 13.00% | 5.60% |
フランス | 6.00% | 3.00% |
中国 | 5.00% | 3.60% |
インド | 4.00% | 1.60% |
オランダ | 4.00% | 1.10% |
スイス | 3.70% | 2.60% |
デンマーク | 3.00% | 0.80% |
イギリス | 2.60% | 3.90% |
アイルランド | 2.50% | 0.20% |
その他 | 13.90% | 17.20% |
地域別の構成比率を表したものが以下となります。
ちなみに2022年3末時点での構成比率は以下でした。3月から米国の比率が下がっていますね。これは米国の株価が大きく下落していることに起因しています、
現状、米国株が大きく上昇してバリュエーションが高くなっているため米国の比率を低くしていると推察できます。
比較的高い手数料水準
達人ファンドは購入手数料は0%ですが、信託報酬は年率1.35%±0.2%という比較的高い水準になります。
なぜ±0.2%がつくのか疑問に思われた方もいらっしゃると思います。これはファンド・オブ・ファンズ形式であることが影響しています。
投資しているファンドも手数料が発生しているので、当然投資家としては二重で手数料を支払うことになっているのです。
金融庁の調査でもファンド・オブ・ファンズ形式のファンドの手数料は比較的高い水準となることが明らかになっています。
ファンド・オブ・ファンズ形式のファンドの平均という水準ですね。
関連:インデックス型投信(=パッシブ)とアクティブ型投資信託はどっちがおすすめ?成績や手数料を中心に金融庁データをもとに徹底比較!
セゾン資産形成の達人ファンドの成績とは?利回りは?
では肝心な達人ファンドの成績について切り込んでいきたいと思います。
暴落を乗り越えながらも大きく基準価格を上げている(S&P500の20年平均とも比較)
達人ファンドはリーマンショックやチャイナショック、コロナショックで大きく基準価格を落としながらも基準価格を3.18倍に引き上げています。
短期的には大きな損失を被る可能性がありますが、長期でみると素晴らしい成績を残していますね。
16年で年率7〜8%程度であり、S&P500の過去20年間の平均リターン7.50%と同等です。手数料分負けることになりそうですね。ただ達人ファンドは全世界投資ファンドなので、本来はMSCI All Country Indexとの比較が最適になります。
MSCI All Country Indexと比較
達人ファンドが優秀な成績を残しているかは指数と比較しないといけません。
達人ファンドは世界の株価指数に投資しているので、世界株指数と比較する必要があります。比較に最適な指数はMSCI All Country Indexです。
以下はセゾン資産形成の達人ファンドと、MSCI All Country Indexつまり世界平均株価への連動を目標とするeMAXIS全世界株式との比較です。
青色:セゾン資産形成の達人ファンド
橙色:eMAXIS全世界株式
殆ど同じ値動きとなっていますね。むしろeMAXIS全世界株式は配当金を出した後のリターンなのでeMAXIS全世界株式の方が高いリターンということになります。
あとでお伝えしますが、この世界株と同じ動きをしているという事実が筆者のセゾン資産形成の達人ファンドが2022〜2023年の暗い見通しの基となっています。
「ひふみ投信」と比較
他の日本のアクティブファンドと比べてみましょう。日本で最も有名なアクティブ投信である「ひふみ投信」が運用を開始した時点からの比較は以下となります。
青:セゾン資産形成の達人ファンド
赤:ひふみ投信
直近はやはりひふみ投信も運用が振るわず、達人ファンドに軍配が上がっています。
「ひふみ投信」は純資産残高が急騰したことでファンドマネージャーの藤野英人氏が得意とする超小型成長株投資ができなくなってしまいました。
結果的に近年は不調で、達人ファンドの成績に大きく劣後する成績となっています。
→ やめたほうがいい?幾度の暴落を経験した「ひふみ投信(プラス)」の時代は終わった!?評判のアクティブ投信の近年の不調の原因と見通しを徹底評価!
掲示板やウェブ上の評判や口コミ、デメリットややめた理由も
では掲示板やウェブ上での評判をみていきたいと思います。以下のコメントは非常に鋭いですね。次の項目で詳しくお伝えしたいと思います。
ボラティリティが高いというデメリットはまさにインデックスファンドとも同様ですね。
Yahoo掲示板①
「達人」は、ややボラティリティが高いですね。
ツボにハマると大きく上昇するが、その代わり、伸び過ぎた分 金利上昇局面で下げが厳しい。
上昇局面で、順張りとばかりに調子に乗って積立額を増やし過ぎると、いつの間にか平均取得単価もぐいぐい上がっていて調整局面で火傷します。
上昇局面で森林限界を過ぎたら積立を一時停止するか少なくとも金額を減速するのが利口と思います。
Yahoo掲示板②
7年前から買っているが、現在リターン60%前後で推移してます。そのかわり乱高下は激しい。一時期20%まで落ちたことがある(それでもリターン20%なら御の字)。この成績でも10年後はインデックスに負けるのだろうか?
ちなみに5年前に始めたsp500のインデックスは16%リターン
Yahoo掲示板③
信託報酬も高すぎだしここ買うメリットを教えてください
Yahoo掲示板④
セゾンは好きですが、ここを半分解約して、その分GBファンドを増やしました。安定感の差を感じて。
以下のコメントはひどいですね。郵便局員が確実に儲かると仄めかしているとすると大問題です。
Yahoo掲示板⑤
資産形成の初心者の頃、郵便局でこれを勧められた
アクティブとインデックスの違いすらわからなかったけど、販売する側は売りたかったんだろう
手数料も安いし確実に貯まりますよって言われた
面倒だからしなかったが、これくらいのリターンならしないで正解だった
金融機関の窓口などで投資信託の販売が行われたりしますが、商品の良し悪しより、販売員はノルマに追われているので、説明不足だったりがありそうです。
筆者の知り合いの社長さんも銀行借り入れで審査を通してもらうために仕方なくノルマ達成の手助けで投信を買ってあげているという話を聞いたことがあります。投信購入でリターン以外にもメリットがあるのなら、目を瞑れるのかもしれませんね・・・。
それでは今後の見通しについてみていきたいと思います。
セゾン資産形成達人ファンドの今後の見通しと投資判断
では今後について考察していきたいと思います。
概ね世界株と同様に増加することが見込まれる
先ほど見てきたように、今後もセゾン投信は世界株の平均的な成績と同等の成績となることが予想されます。
つまり、毎年平均的に5%-7%のリターンを安定的に見込むことができます。比較的高い手数料を支払う必要があることを考えると、全世界のインデックスでも十分であるとも考えられます。
2022年は全世界の株式が大きく調整する可能性がある
概ね全世界の株式と同じ動きをするということは全世界の株式の動向が非常に重要になっています。
全世界といいながらも現在米国株式が全世界株の約65%を占めています。
つまり米国株式の行く末が世界の株式市場の趨勢を決定つけるといっても過言ではありません。
そして、この米国株の行く末が2023年に発生するスタグフレーションによってもたらされ暗くなってきています。スタグフレーションとは「インフレ」と「不況」がセットにやってくることです。
日本にいるとわからない方と思いますが、米国はパンデミックでお金をばらまいたことと、人手不足によってサプライチェーンが混乱して大きなインフレが発生しています。
以下2023年2月に公表された雇用統計とCPIです。
米国では1月の雇用者数が予想以上に増加した。失業率は53年ぶりの水準に低下した。リセッション(景気後退)予想とは相いれない動きで、米金融当局に対し利上げ継続を求める圧力が強まった格好だ。
直近インフレ率が止まるところをしりません。以下過去25年の米国のインフレ率の推移ですが、鈍化したと騒ぎ立てる投資家も多いですが、絶対値で6%以上です。異常なのです。
年率インフレ率が6.5%ということは昨年1000円だったものが、今年は1065円になっているということです。米国はインフレ率の目標を2%と置いていることから、大きく上回っているということで国民の不満も高まっています。
インフレを抑えるためには金融引き締めをする必要があります。つまり金利をあげたり米国の中央銀行であるFRBのバランスシートを縮小したりして景気を冷ませてインフレ率を抑えるということです。
この金融引き締めは歴史的に株価を押し下げてきました。景気を冷ますので当たり前ですよね。
しかし、今回のインフレによって国民の消費活動が停滞して金融引き締めが発生するまえに景気が悪化する前兆が様々な指標からでてきています。
小売や景況感指数が軒並み悪い結果を叩き出しているのです。
一方、今回のインフレは供給制約による側面もあり景気が冷めたと言ってもおさまるかは不明です。
景気が下火になっているなかで、中央銀行が金融引き締めを行うとショックをともなって米国株市場が大幅に減少する可能性が十分にあります。
2020年と2021年が好調で米国株が高くなりすぎた副作用を2022年は大きく払わされた結果になりました。
このような状況で世界株と同じ動きをするセゾン資産形成の達人ファンドに投資をすることは筆者としては危険であると考えています。
ではどうしたらよいか?
その選択肢を次の項目で記載しています。
安定的な値動きで年率10%以上で運用する方法
達人ファンドは有力な選択肢ではありますが、世の中には更によい金融商品もあります。
それがヘッジファンドです。ヘッジファンドは暴落局面でも収益を出すことが求められる絶対収益型のファンド形態です。
ヘッジファンドは以下の通り、長期的に米国株指数や世界株指数を大幅にアウトパフォームしています。
更にリスク低く安定的な値動きとなっています。
特に筆者が投資をしているBMキャピタルは市場平均と連動しない確固たる理論に基づいて運用を行い、
市場が悪い時でも安定してリターンをだしつづけてくれています。
以下で筆者が投資している日本人投資家でも投資できるヘッジファンドについて詳しくお伝えしていますのでご覧いただければと思います。
まとめ
セゾン資産形成ファンドについてお伝えしてきました。纏めると以下となります。
- ファンド・オブ・ファンズ形式で運用している
- 組み入れているのはアクティブファンド
- ファンド・オブ・ファンズのため手数料は高め
- 米国株比率が低く、日本と欧州が多くなっている
- 成績はよいが殆ど世界株平均と同じ
- 度々暴落局面を迎えるのがデメリット
- 更に魅力的な選択肢も検討しよう