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【おおぶねはやばい?】米国株に投資する評判の投資信託「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資」を徹底評価!今後の見通しは?掲示板など口コミを含めてブログ解説

2022年5月15日

農林中金<パートナーズ>長期厳選投資「おおぶね」は農林中金が大々的に肝煎りで売りだしている投資信託です。

そもそもなぜ農林中金が投資信託を運用しているのか不思議に思った方も多いのではないと思います。

 

意外なことではありますが、農林中金は日本の超巨大ヘッジファンドとしても投資業界では名を馳せています。

農林中金は60兆円以上の資産を株や債券等で運用しているのです。

 

農林中金の運用資産残高

 

資産運用業界でも農林中金は動向が注目される機関投資家としてスポットライトが当てられています。

そんな農林中金の子会社である農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が運用する「おおぶね」とはどのような投資信託なのでしょうか?

本日はそんな「おおぶね」について特徴や運用実績を中心にお伝えしていきたいと思います。

 

関連記事)【2024年】一番儲かる投資信託とは?これから上がる今買いの投資信託銘柄をランキング順に紹介!

 

農林中金<パートナーズ>長期厳選投資「おおぶね」の特徴とは?

ではまず「おおぶね」の特徴について見ていきたいと思います。

 

米国株に投資をするアクティブ型の投資信託

「おおぶね」が投資対象としているのは米国株です。

米国株は日本より長い歴史があり、幾度となく暴落を経験しながらも長期的にみると一貫して上昇している魅力的な株式市場です。実際以下のとおり代表的な米国の株価指数であるS&P500指数は150年間で大きく上昇しています。

S&P500指数の株価推移

「おおぶね」は米国株の中から銘柄を厳選して市場平均より高いリターンを狙おうとするアクティブ型の投資信託です。

 インデックス型投信(=パッシブ)とアクティブ型投資信託はどっちがおすすめ?成績や手数料を中心に金融庁データをもとに徹底比較!

 

そのため、成績もS&P500指数に対してアウトパフォームしているかという点が重要になってきます。

 

農林中金バリューインベストメンツ株式会社から助言をうけている

運用は農林中金全共連アセットマネジメント株式会社となっています。

ただ、助言は農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC)から受けていると目論見書には記載されています。

NVICについて説明は以下となります。

 

  • 国内外の株式にかかる投資助言業務を行っております。 運用メンバーは、日本において2007年から株式長期厳選投資を開始した当投資分野におけるフロントランナーの1社です。
  • 現在では、これまでに培った株式長期厳選投資ノウハウを最大限活用し、日系投資助言会社ながら米国現地企業への訪問を地道に繰り返しながら(年6回程度の米国現地訪問)、投資先候補企業を厳選することで、米国企業を対象とした株式長期厳選投資にかかる投資助言を行って います。

参照:「おおぶね」の目論見書

 

日本からではなく、しっかり現地企業に訪問している点は非常に評価できますね。

 

投資対象となる銘柄を選ぶ条件

「おおぶね」が選定する銘柄は以下の3つの要素を満たすものとしています。

  • 高付加価値産業に存在しており
  • 他社に比べて圧倒的な競争優位性をゆうしており
  • 時流に乗っている構造的に強靭な企業

記をみると、今時流にのっているハイテク産業へ投資しているのかと推察できますね。では実際の投資銘柄はどうなっているのでしょうか?

構成上位銘柄についてみていきたいと思います。

 

組入上位10銘柄とは?選定銘柄は約30銘柄と少なく厳選されている

「おおぶね」は27銘柄に集中投資しています。「ひふみ投信」が260銘柄に分散していることを考えると「おおぶね」は比較的集中投資をしていることが読み取れます。

以下は2023年10末時点での構成上位銘柄です。

 

順位 銘柄 業種/セクター 組入比率
1 COSTCO WHOLESALE CORP 生活必需品 7.00%
2 AMPHENOL CORP-CL A 情報技術 6.40%
3 TEXAS INSTRUMENTS INC 情報技術 5.80%
4 VISA INC-CLASS A SHARES 情報技術 5.40%
5 S&P GLOBAL INC 金融 5.40%
6 MCCORMICK & COMPANY 生活必需品 4.10%
7 THE WALT DISNEY CO. コミュニケーション・サービス 4.00%
8 JACK HENRY & ASSOCIATES INC 金融 4.00%
9 CHURCH & DWIGHT CO INC 生活必需品 3.90%
10 TJX COMPANIES INC 一般消費財・サービス 3.90%

 

上位10銘柄で50%を超えているのは凄いですね。セクター別でみると以下の比率となっています。

業種 比率
資本財・サービス 22.50%
ヘルスケア 16.50%
生活必需品 15.70%
金融 15.20%
情報技術 15.00%
一般消費財・サービス 7.70%
コミュニケーションサービス 4.00%
素材 3.90%

 

重厚長大の資本財・サービスに偏った配置となっています。景気拡大最終局面であり、米FRBもインフレ退治で景気を潰しにきていますからね。

とはいえ不況局面に強いヘルスケアが2位となっており、柔軟に対応しているということでしょうか。

過去からの推移は以下となります。コストコがついに一位銘柄となりました。景気の拡大を感じます。

2024年1月末 2023年10月末 2023年7月末 2023年4月末 2022年12月末 2022年7月末 2022年4月末
1 COSTCO WHOLESALE CORP COSTCO WHOLESALE CORP COSTCO WHOLESALE CORP MCCORMICK & COMPANY MCCORMICK & COMPANY AMPHENOL CORP-CL A THE WALT DISNEY
2 AMPHENOL CORP-CL A AMPHENOL CORP-CL A THE WALT DISNEY CO. THE WALT DISNEY CO. THE WALT DISNEY CO. MCCORMICK & COMPANY VISA
3 TEXAS INSTRUMENTS INC TEXAS INSTRUMENTS INC MCCORMICK & COMPANY COSTCO WHOLESALE CORP AMPHENOL CORP-CL A THE WALT DISNEY BECTON
4 VISA INC-CLASS A SHARES VISA INC-CLASS A SHARES AMPHENOL CORP-CL A TEXAS INSTRUMENTS INC TEXAS INSTRUMENTS INC TEXAS INSTRUMENT TEXAS INSTRUMENT
5 S&P GLOBAL INC S&P GLOBAL INC TEXAS INSTRUMENTS INC AMPHENOL CORP-CL A VISA INC-CLASS A SHARES VISA NIKE
6 MCCORMICK & COMPANY MCCORMICK & COMPANY VISA INC-CLASS A SHARES S&P GLOBAL INC COSTCO WHOLESALE CORP NIKE CHURCH&DWIGHT
7 THE WALT DISNEY CO. NIKE INC S&P GLOBAL INC VISA INC-CLASS A SHARES NIKE INC -CL B COSTCO SHERWIN-WILLIAMS
8 JACK HENRY & ASSOCIATES INC CHURCH & DWIGHT SHERWIN-WILLIAMS CO/THE CHURCH & DWIGHT CO INC TJX COMPANIES INC CHURCH&DWIGHT COLGATE
9 CHURCH & DWIGHT CO INC TJX COMPANIES INC TJX COMPANIES INC SHERWIN-WILLIAMS CO/THE CHURCH & DWIGHT CO INC TJX COMPANIES MCCORMICK & COMPANY
10 TJX COMPANIES INC THE WALT DISNEY CO. JACK HENRY & ASSOCIATES INC JACK HENRY & ASSOCIATES INC SHERWIN-WILLIAMS CO/THE HONEYWILL COSTCO

 

 

購入手数料は高いが信託手数料は比較的低い

「おおぶね」は購入手数料は税込2.2%となっていますが、信託手数料は税込で年率0.99%となっています。

助言会社を使い関係者が多いことを考えると比較的低い手数料水準ですね。

 

投資信託「おおぶね」の運用成績とは?

では、肝心の運用成績はどうなっているでしょうか?

 

純資産は増えるものの運用成績(利回り)はイマイチ

以下は「おおぶね」が運用開始となった2017年7月からの運用成績です。意外とまだ若いファンドです。

おおぶねの基準価額の推移

おおぶねの基準価額の推移

 

まずまずの運用といったところですが、米国株への投資に特化しているが故に円安の恩恵があまりにも大きいですよね。

そして後の見通しの欄でお伝えしますが、これからは米国の景気後退と円高修正によって大きく下落することが見込まれます。

現在2024年2月時点で150円まで円安が進んでいますが、今後は米国の景気後退と日本側の金融政策の修正によって金利差が縮小して下落する可能性が高くなっています。

 

ドル円と日米金利差

 

ここから「おおぶね」に投資するのはリスクが高いと考えています。

資産運用に一番重要なのは安全性です。市場暴落局面でもしっかりと資産を守り、着実にリターンを積み重ねていく方が投資家としても安心感があります。

以下では上記の観点にたってランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

【2024年】一番儲かる投資信託とは?これから上がる今買いの投資信託銘柄をランキング順に紹介!

 

コラム:おおぶねの宣伝について

よくグーグルの検索をしていると「おおぶね」の広告が目に入ります。

 

おおぶねの広告

 

積極的に投資家にアピールして資金を集めていることが伺えます。実際に広告をみると以下のような説明があります。

  • 上記ファンドの累積リターンはコンポジットの実績値(信託報酬控除前、米ドルベース、税引き前)。
  • コンポジットは農林中金バリューインベストメンツ株式会社が助言する長期厳選投資の運用戦略を持つ複数のファンドを加重平均してまとめたデータです。よって、おおぶねファンドの運用実績ではありません。

参照:おおぶね

 

ちょっと広告の内容としてはミスリーディングですね。ただ実際に基準価格は2倍になっています。

では、この6年で2倍という成績はどう捉えればよいのでしょうか?

アクティブ型の投資信託なので、同じく米国のインデックスであるS&P500指数やナスダック指数、ダウ平均株価と比較していきたいと思います。

→ インデックス型投信(=パッシブ)とアクティブ型投資信託はどっちがおすすめ?成績や手数料を中心に金融庁データをもとに徹底比較!

 

S&P500指数やひふみプラスとも比較!結局は手数料が高いインデックス投信に過ぎない!?

以下は米国の株価指数と「おおぶね」との成績の比較です。ハイテク株中心のナスダックが圧倒的な成績となっています。

青:おおぶね
黄:S&P500 (円建)
緑:ひふみ投信

おおぶねと米国株指数(円建)、ひふみ投信のチャート比較

 

「おおぶね」は最も一般的な米国株全体の調子を表す指数であるS&P500指数を大きく劣後しています。値動きも酷似していますね。

「おおぶね」の成績が堅調なのではなく投資している市場である米国株市場がこの間堅調であっただけに過ぎないのです。2020年は空前の米国株バブルでしたからね。

 

むしろ、アクティブ型の投資信託としては手数料を加味すると決して良い成績とはいえません。

今後、高くなっている米国株の調整(そして円高)が発生した際には「おおぶね」も同様に大幅調整となる可能性があります。

ひふみ投信はかなり厳しいですね。

【今からは危ない】やめたほうがいい?まだ上がる?幾度の暴落を経験し直近の運用成績がひどいと評判の「ひふみプラス」「ひふみ投信」の時代は終わった?解約すべきか?最近の不調の原因と今後の見通しを徹底評価!

 

「おおぶね」の2024年以降の今後の見通し

重要なのは今後の見通しです。現在の米国株式市場は中央銀行の金融政策に大きく影響をうけます。

コロナショックで大幅な金融緩和を行い金利をゼロ近傍まで引き下げてコロナショックからのラリーを演出しました。

 

しかし、2021年から猛烈なインフレが発生しました。なんと2023年10月時点で年率3%以上のインフレが発生しています。

一時9%のハイパーインフレまで発展し、しつこいインフレが続いています。

1970年代は3波にわたってインフレが到来

見た目上はおさまってきているかのようにみえますがインフレの核をなすサービスインフレは全くおさまっておらず今後もインフレが再燃する可能性は十分にあります。

 

米国のインフレの内訳

 

米国の中央銀行であるFRBはインフレ率は2%で安定させることを目標としています。つまり、金融引き締めを始めて1年半が過ぎていますが、まだまだ道半ばです。

FRBが最も重要視している賃金インフレが全く収まらないのです。

元米財務長官のサマーズ氏は、米経済のソフトランディングの可能性は高まっているが、インフレ再加速のリスクを懸念していると語った。7月の雇用統計が示す賃金トレンドは2%の基調的なインフレ水準と一致せず、実質的なインフレ率が3.5%の範囲にあることを示唆していると指摘。インフレを制御する米金融当局の対応を評価した一方、インフレ退治の勝利宣言は早過ぎると警告した。また、長期的な財政赤字の進行に懸念を示し、米議会予算局の財政赤字予想が楽観的であると指摘した。

https://the-first-fx.com/news/2023-08-05/

 

金利を引き上げるというのは株式に対してはまちがいなくマイナスです。事業はキャッシュエンジンがあればあるほど利益が伸びますが、借入にかかるコストが増加すればそれは当然、事業推進の足枷になります。

また、金利が上がれば上がるほど、リスクの高い株式ではなく、投資家は確実に金利を手にできる債券へ資金をシフトさせていきます。

 

2022年を思い出すかのように、2024年以降の米国株はまだまだ厳しいことが想定されます。2023年前半はAIブームで大型テックに資金が集まり、株式市場は上昇してしまっていますが、中小型株が全くついていっておらず、非常に脆い市場環境です。

S&P493は停滞、大型テック株のみに資金流入しインデックスが上昇

S&P493は停滞、大型テック株のみに資金流入しインデックスが上昇

大型テックのみが業績が良い状況

大型テックのみが業績が良い状況

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この中型、小型株がついてこない相場で、突発的な不況のニュースが来て一気に株式市場が厳しい状況に陥ってもおかしくない状況です。米国株式市場に投資をしている「おおぶね」も厳しい結果となることが想定されます。

また、「おおぶね」のリターンが2022-2023年までマシだったのは円安の影響も挙げられます。異次元な円安が損失を抑えていました。

 

しかし既に財務省による円買い介入も行われており、前回の1998年もこの水準から下落して一気に90円台まで円高が進行しました。ここから米景気の後退で金利が下落する時にドル円は急落し「おおぶね」のリターンを大きく毀損することが見込まれます。

ドル円と日米金利差

 

ここから米ドル建の資産に投資するのは危険といえるでしょう。米国人からすれば気になりませんが、日本で生活する日本人投資家からすれば、債券投資ですら為替リスクが足枷になってしまうのです。

円安の現状下、日本株で堅実にリターンを上げられるファンドに妙味があるといえます。

 

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掲示板やウェブ上での口コミや評判

まさに、筆者が指摘したポイントに指摘がなされています。

 

Yahoo finance掲示板①

投資哲学で語っていることは立派だったりするんだが、蓋を開けると、インデックスに結局劣後している。
ひふみも含めて、どうもカリスマっぽく見せる人が発言するとそれが真実味を帯びて、疑いもせず信用して買ってしまう。
根拠のない謎な信用ですね。

 

ただ、直近の短い反発で希望を見出すコメントも見られました。

 

Yahoo finance掲示板②

最近、ようやく黒字になった。この調子で頼みます。

Yahoo finance掲示板③

先週から急落していますが、何かあったのでしょうか?

Yahoo finance掲示板④

ディズニー暴落してるけど大丈夫なん
ディズニーといったらおおぶねでしょ

Yahoo finance掲示板⑤

財産が溶けるぞw

Yahoo finance掲示板⑤

まあ、私もここ所有してますしね…
ただ手数料を考えてタイミングを見てインデックスファンドの方に移行しようかなと思ってます。

 

円高修正に気づいた人もいらっしゃいますね。

 

 

まとめ

今回のポイントをまとめると以下となります。

  • 農林中金は日本では有数の機関投資家
  • おおぶねは米国株に投資するアクティブ型の投資信託
  • 購入手数料は高いが海外株のわりに手数料は低い水準
  • 約30銘柄に厳選するもハイテクの組み入れ比率は高くない
  • 成績はS&P500指数を劣後しておりアクティブリターンを稼ぎ出せてはいない

 

以下で暴落を免れながら安全に資産を形成するのに適したファンドについてまとめていますので参考にしていただければと思います。

 

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締め括り

 

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