ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンドはMorning Starのバランス型部門の最優秀ファンド賞に輝いた投資信託です。
同投資信託は「クアトロ」の愛称の名で親しまれています。
本日はクアトロがどのような特徴の投資信託なのかをお伝えした上でリターンと今後の見通しについてお伝えしていきたいと思います。
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ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド(愛称:クアトロ)の特徴とは?
それでは投資信託「クアトロ」の特徴についてみていきたいと思います。
株式だけでなく債券やオルタナティブ資産に投資
多くの投資信託は株式市場に特化したポートフォリオを組成しています。
しかし、クアトロは株式だけでなく、債券、更にはオルタナティブ資産にも投資を行なっています。
2024年1月末の配分は以下となっています。直近は株式と債券を増やしていますね。
2024年1月末 | 2023年10月末 | 2023年7月末 | 2023年4月末 | 2023年1月末 | 2022年9月末 | 2022年7月末 | 2022年1月末 | |
株式 | 32.50% | 27.60% | 29.80% | 26.40% | 25.00% | 27.00% | 30.60% | 24.20% |
債券 | 44.90% | 35.20% | 38.60% | 38.20% | 40.60% | 29.90% | 38.90% | 36.80% |
オルタナティブ | 19.80% | 21.90% | 21.20% | 19.70% | 19.30% | 16.60% | 16.80% | 15.70% |
キャッシュ | 2.80% | 15.40% | 10.40% | 15.80% | 15.10% | 26.50% | 13.70% | 23.30% |
債券とキャッシュで60%という比較的安全性を重視したポートフォリオでしたが、現在はさらに大きく債券にポーションを振っています。
インフレ鈍化からの債券価格上昇を先んじて取りに行く気概が感じられます。しかし、現在は米国債は売り込まれており、もう少し債券価格上昇には時間がかかりそうです。少し勇み足ですね。
米国債利回りの上昇を受けて、リスク資産市場に動揺が走っている。株式やビットコインをはじめとする今年のリスク資産上昇に陰りが出るのではないかとの不安だ。
米国債利回りは、堅調な経済成長を受けて連邦準備理事会(FRB)の利上げが長期化するとの見方を背景に今月、2007年以来の水準に上昇した。今年好調に推移していた株式などリスク資産の保有者も、米国債利回りの着実な上昇を無視できなくなっている。
先ほどはさらっと流しましたが、オルタナティブ投資って何のこと?
と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。次の項目でオルタナティブ投資について説明していきたいと思います。
オルタナティブ投資とは?
オルタナティブ投資というのは伝統的な投資先である株式や債券とは異なる動きを行う資産です。代表的なものとしては以下があります。
✔︎ ヘッジファンド
✔︎ 未公開株 (PEファンド)
✔︎ 不動産
✔︎ 商品(金や原油)
ヘッジファンドというのはどのような局面でもリターンを狙うことを目的として運用している「絶対収益型」のファンド形態です。
ヘッジファンドは以下のとおり市場環境に関係なく安定したパフォーマンスをあげて機関投資家から重用されています。
ちなみに、20年以上年率10%以上のリターンを出しているハーバード大学のポートフォリオに占める比率は36%と最大ポーションになっています。
筆者もヘッジファンドに一番多くのポーションを投資しながら資産を守りつつ安定的に資産を増やしてきています。以下で筆者が投資しているヘッジファンドについてはお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
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クアトロが投資を行なっているオルタナティブファンドは以下となります。自社が運用を行なっているヘッジファンド型のファンドを組み入れているということですね。
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ファンド・オブ・ファンズ形式で運用する意図
クアトロはピクテが運用する多くのファンドに投資して分散するファンドに投資するファンドです。このような形式をファンド・オブ・ファンズ形式と呼びます。
代表例としてはセゾン資産形成の達人ファンドがあります。クアトロが投資している株式ポーションのファンドは以下となります。全てのファンドに信託報酬が発生します。
つまり、これらのファンドに投資した瞬間に信託報酬を支払い、さらにクアトロ自体にも手数料が発生しています。
【クアトロの手数料形態】
✔︎ 購入手数料:3.85% (税込)
✔︎ 信託手数料:年率1.1275% (税込)
つまり、二重で手数料が発生していることになります。概算で年率2%の信託手数料が発生することになります。この水準は他のアクティブ型投信の中でも高い比率となります。
ファンド・オブ・ファンズ形式で運用している場合は、実質的な手数料の負担についても考える必要があるのです。
(速報)投信「クアトロ」の運用実績・基準価格推移
では肝心のクアトロの運用実績についていていきたいと思います、以下は運用が開始となった2013年12月以降のチャートとなっています。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
---|---|---|---|
トータル リターン |
-6.03% | -0.19% | 0.54% |
標準偏差 | 5.54 | 5.08 | 5.00 |
過去5年の平均年率リターン0.50%とリスク4.97%から考える今後1年のリターンは以下となります。
平均リターン:0.54%
リスク(=標準偏差):5.00%
【68.3%の確率】
平均値±標準偏差の範囲に収まる
△4.46%(=0.54%-5.00%)
〜
+5.54%(=0.54%+5.00%)
【95.4%の確率】
平均値±(標準偏差×2)の範囲に収まる
△9.46%(=0.54%-5.00%×2)
〜
+10.54%(=0.54%+5.00%×2)
【99.7%の確率】
平均値±(標準偏差×3)の範囲に収まる
△14.46%(=0.54%-5.00%×3)
〜
+15.54%(=0.54+5.00%×3)
他のファンドに比べてリターンは低いですが、リスクが低いので最大損失が抑えられているのが魅力です。
ただ、最大損失を抑えながらも年率10%以上のリターンを狙えるファンドもありますので以下参考にしていただければと思います。
投資信託「クアトロ」の今後の見通し
それでは今後の見通しについてみていきたいと思います。今現在最もクアトロがポートフォリオに組み入れているのが債券です。
2024年1月末 | |
株式 | 32.50% |
債券 | 44.90% |
オルタナティブ | 19.80% |
キャッシュ | 2.80% |
先進国で最大の利回りを出していた米国ですら、コロナ対策として金融緩和によって長期金利であっても0%近傍となっていました。
しかし、米国でインフレが発生したことによって金利は現在急上昇してきています。金利が高くなるということは債券の価格が下落することを意味します。
クアトロはそんな、危険な債券に40%近くを投資してしまっていたのです。債券に多くを投資しているファンドへの投資は正直言って魅力的とはいえません。
実際、さきほど運用実績でみてきたように2021年末から基準価格は低下してきています。
一方、株式も同様に金融引き締めで期待できません。
2024年2月現在はインフレ率は3%まで低下していますがFRBが目標とする2%のはるか上空を飛行しています。
しかし、以下の要因によりインフレが再加速する観測がたかまっており利上げ停止となると考えられていたFRBも再び利上げを再開する動くを見せています。
✔︎ エネルギー価格の反発
✔︎ 家賃インフレの再燃
✔︎ 時給の継続した増加
直近、金利は上昇基調にあり今後しばらく債券も株式も引き続き厳しい展開が想定されます。何よりも賃金インフレが問題で、非常に粘着しています。
ただ唯一残されたオルタナティブポーションは伝統的資産とは異なる動きをする投資先なので期待できます。
最もオルタナティブ投資の中で有名なヘッジファンドは以下のとおり株価指数が軟調な局面でも安定したリターンを叩き出して顧客資産を増やしていっています。
以下では最も有名なオルタナティブ投資について期待できる投資先をランキング形式でお伝えしていますのでご覧いただければと思います。
投資信託「クアトロ」の掲示板やブログでの評判や口コミ
では評判や口コミについてもいていきたいと思います。2021年以降、掲示板には書き込みがなく、投資家がかなり離れていってしまったように思えます。年率0.50%のリターンでは、キャッシュとあまり変わりませんからね。
Yahoo finance掲示板
全部をリスク資産にする訳にもいかず、こういうファンドも複数保有してます。
キャッシュで持つと個別株を買いたくなってしまう。
リスクメジャー1の中では、まあ良いのかなと思って買ってます。
以下はTwitterでの口コミですが、2021年11月とまだ下落していない時のものです。
下落している現在は殆ど書き込み自体もありません。
資産配分を機動的に変更 運用上手のバランス型投信:日本経済新聞 今の相場局面だと、クアトロは強いよね〜。 ロングショート戦略も織り交ぜたバランス型ファンド。 「長期分散ガ〜」って語るのもいいけど、こういうファンドに注目するのも大事。もちろん長期分散だし。
まとめ
では今回のポイントについて纏めると以下となります。
✔︎ 株式だけでなく債券やオルタナティブ投資先にも分散投資している
✔︎ ファンド・オブ・ファンズ形式で二重で手数料が取られている
✔︎ リターンは低いがリスクも低く最大損失は抑えられる
✔︎ ただ、現時点で債券に投資をしているのは非合理的と考えられる
株式投資を主としながらも、安定した高い運用を行うファンドについてもまとめていますので参考にしていただければと思います。