【ブログ更新/ロイヤル・マイル】昨年までの高いリターンが評判も下落中の投信「ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド」を今後の見通しを構成銘柄やチャートから徹底評価!

日本の投資信託(含むETF)分析

【ブログ更新/ロイヤル・マイル】かつて高いリターンが評判だったが下落中でやばい「ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド」を今後の見通しや掲示板での口コミを含めて徹底評価!

2022年5月13日

三菱国際投信が運用する人気の投信に「ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド」があります。

同投信はロイヤル・マイルという愛称で親しまれています。

 

ロイヤル・マイルは2020年度のMorning Starの国際株式型部門の最優秀ファンドとなっています。

Morningstarの2020年度のFund of the year

 

本日はロイヤル・マイルについて、どのような投信なのか、どのようなリターンなのかという点についてお伝えしていきたいと思います。

参考:日本の投資信託(含むETF)分析

 

ロイヤルマイルの特徴とは?

それではロイヤルマイルの特徴についてみていきたいと思います。

 

ベイリー・ギフォード・インベストメント・マネジメント(ヨーロッパ)リミテッドが運用

ロイヤル・マイルは三菱国際投信によって販売されていますが、実際に運用を行なっているのはベイリー・ギフォード・インベストメント・マネジメント(ヨーロッパ)リミテッドです。

 

ベイリーギフォード

 

同社はベイリー・ギフォード&カンパニーの孫会社です。ベイリー・ギフォード&カンパニーは1908年に創業の伝統的な英国の資産運用会社です。

ロイヤルマイルは以下の通りの運用スキームになっています。

マネー・マーケット・レンディングには殆ど投資していないので、「ベイリー・ギフォード・ ワールドワイド・ロング・ターム・ グローバル・グロース・ファンド -クラスC・JPY・アキュムレーション(円建)」に投資をしています。

 

ロイヤルマイルの運用スキーム

 

投資対象は全世界の株式

ベイリーギフォードは世界の株式に分散して投資しています。先進国だけでなく新興国にも分散して投資しています。

以下は国別の構成比率ですが米国と中国という超大国を中心にしたポートフォリオとしています。(ここからのデータは全て2023年7月31日時点

順位 国・地域 比率
1 アメリカ 54.50%
2 中国 15.80%
3 オランダ 8.00%
4 フランス 6.60%
5 カナダ 2.80%
6 インド 2.00%
7 ブラジル 2.00%
8 スウェーデン 2.00%
9 韓国 1.90%
10 ドイツ 1.70%

 

 

ロイヤルマイルの構成上位銘柄

ではどのような銘柄に投資しているのでしょうか?以下はロイヤルマイルの構成上位銘柄です。米国やオランダの大型のテック企業になっています。

No. 銘柄 国・地域 業種 比率
1  NVIDIA CORP アメリカ  情報技術 8.40%
2 AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス 5.90%
3 TESLA INC アメリカ 一般消費財・サービス 4.80%
4 ASML HOLDING NV オランダ  情報技術 4.30%
5 PINDUODUO INC-ADR 中国 一般消費財・サービス 4.30%
6 DEXCOM INC アメリカ ヘルスケア 3.90%
7 KERING フランス 一般消費財・サービス 3.90%
8 TRADE DESK INC/THE -CLASS A アメリカ コミュニケーション・サービス 3.80%
9 ADYEN NV オランダ 金融 3.70%
10 MEITUAN-CLASS B 中国 一般消費財・サービス 3.20%

 

構成トップのNvidiaは日本人には馴染みの薄い銘柄かもしれません。ただ、世界最強の半導体メーカーとして名を馳せ、GAFAMTの次を担うテクノロジー企業です。

直近はAIブームでNVIDIAの需要が増加して好決算を発表して株価は爆伸びして史上最高値をとりました。

NVDA 株価

しかし、中国株は下落の一途を辿っています。

MEITUAN 株価

PINDUODUO INC-ADR 株価

 

過去のポートフォリオの推移は以下となっています。常にテック企業が上位におり直近はAI関連銘柄だけ勢いがよいですが2022年初頭から厳しい時代が続いています。

No. 2022年7月末時点 2022年11月末時点 2022年8月末時点 2022年5月末時点
1  NVIDIA CORP  AMAZON.COM INC  TESLA INC Amazon
2 AMAZON.COM INC  MODERNA INC  AMAZON.COM INC 美団
3 TESLA INC  ASML HOLDING NV MEITUAN-CLASS B ILLUMINA
4 ASML HOLDING NV  TESLA INC KERING アリババ
5 PINDUODUO INC-ADR  NVIDIA CORP  NVIDIA CORP テンセント
6 DEXCOM INC KERING  ASML HOLDING NV テスラ
7 KERING PINDUODUO INC-ADR PINDUODUO INC-ADR KERING
8 TRADE DESK INC/THE -CLASS A DEXCOM INC TENCENT HOLDINGS LTD NVIDIA
9 ADYEN NV MEITUAN-CLASS B ATLASSIAN CORP PLC-CLASS A PINDUODUO
10 MEITUAN-CLASS B ILLUMINA INC  MODERNA INC ASML

 

アリババが上位から消え、また美団も下位に転落しています。中国は国営企業などのバリュー株は下落していませんが、テック株は思い切り下がっているので、ロイヤルマイルのポートフォリオにも影響が出ています。

アリババ株価

上記のポートフォリオの通り、ハイテク企業に多くのポーションを割いているので、金融緩和時は高いリターンを出していたことが手に取るようにわかります。ただ、後でお伝えする通りパンデミック以降のリターンはただブームに乗っただけに過ぎません。

常にこのリターンが続くわけではないということを追ってお伝えしていきたいと思います。

 

一般的なアクティブファンドと同じ手数料水準

ロイヤルマイルの手数料は以下の通りとなっています。

購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.5895% (税込)

アクティブ型の投資信託の中では平均的な手数料水準となっています。

 

ロイヤル・マイルのリスクとリターンを分析

では肝心のロイヤル・マイルのリターンについて紐解いていきたいと思います。運用開始から2021年末までは順調でしたが、その後、急激に基準価額を落としています。

ロイヤルマイルの基準価額の推移

 

大暴落ですね。そしてテック企業偏重のポートフォリオを変更しない限りは、米国の低金利政策(金融緩和)終焉、テクノロジーバブルが終わった今、しばらくは上昇の機会が全くないと思います。

上記の過去3年のリターン6.40%、標準偏差18.93%という限られた結果からではありますが、今後1年間の想定されるリターンは以下となります。

1年 3年(年率)
トータルリターン 18.93% 6.40%
標準偏差 24.6 28.85
シャープレシオ 0.77 0.22

 

平均リターン:6.40%
リスク(=標準偏差):28.85%

【68.3%の確率】

平均値±標準偏差の範囲に収まる

▲22.45%(=6.40%-28.85%)

35.25%(=6.40%+28.85%)

【95.4%の確率】

平均値±(標準偏差×2)の範囲に収まる

▲51.30%(=6.40%-28.85%×2)

64.10%(=6.40%+28.85%×2)

【99.7%の確率】

平均値±(標準偏差×3)の範囲に収まる

△80.15%(=6.40%-28.85%×3)

92.95%(=6.40%+28.85%×3)

参照:投資におけるリスクとは?統計学的に標準偏差を図解で理解してシャープレシオの高い投資を実践しよう!

 

直近はハイテクセクターは昨年上げた分の調整をしており全世界株に劣後した成績となっています。

この点を次の項目で詳しく見ていきたいと思います。

 

全世界株式に連動するeMAXIS Slim全世界株式のリターンと比較

全世界の株式に分散投資しているので、全世界株式と比較する必要があります。

以下はロイヤルマイルと全世界株式に投資しているeMAXIS Slim全世界株式ファンドを比較したものが以下となります。

青:ロイヤルマイル
赤:eMAXIS Slim全世界株式ファンド

ロイヤルマイルとeMAXIS全世界株式インデックスのチャートの比較

 

直近3年に関してはパンデミック後のバブル相場で作ったバッファーを食いつぶして全世界株に対して劣後しています。

また、着目していただきたいのは株価の変動幅が大きくなっていることです。

テーマ特化型で投資している投資信託の場合、大きく価格が振れるリスクは常に考えた方がよいでしょう。

 

ロイヤルマイルの2023年以降の今後の見通し

ロイヤル・マイルはハイテク企業に分散投資をしているのでハイテク企業の株価推移が重要になります。

以下は米国のハイテク企業が多く組み入れられているナスダック総合指数の株価推移です。

ナスダック総合指数の株価推移

 

上記をみると底打ちして株価が今後も回復しているように一見するとみえます。

しかし、この直近の上昇はCharGPT発表以来のAIブームに乗った銘柄によって形成されたものです。マイクロソフトやNvidiaなどの大型テック銘柄が牽引しています。

しかし、多くのテクノロジー銘柄は地を張っています。実際、上昇している銘柄数から下落している銘柄数を引いて算出される騰落レシオは以下の通り下落の一途をたどっています。

騰落レシオ

上段:ナスダック総合指数 下段:騰落レシオ

 

多くの銘柄が沈んでいるのに株価が上昇しているという状況は相場全体として弱いことを意味しています。

また、今後もハイテク企業にとっては辛い相場が想定されています。理由はインフレの再燃懸念と景気後退です。

 

ここまで株価が反発しているもう一つの理由にインフレ率が天井をうち沈静化していくとマーケットが見ていることが挙げられます。

以下は米国のインフレ率の推移です。

米国のインフレ率の推移

ピークの9%から大きく下落しています。しかし、直近2023年5月末時点で不穏な動きが見られます。

  • エネルギー価格の反発
  • 家賃インフレの再燃
  • 賃金の上昇

つまりインフレが反発する動きをみせているのです。結果として2023年5月で打ち切られる予定だった利上げも、再び実施せざるを得ない状況となっています。

今後も利上げをし、さらに高い金利を維持するということを示唆しているのです。これはハイテク企業にとって逆風です。

 

さらに、仮にインフレがおさまっていったとしても、今後は景気後退となる確率が高まっていっています。景気後退になれば需要が現象して企業収益は下落していきます。当然株価にとっては重しとなります。

いずれにせよ今後もロイヤルマイルも厳しいリターンとなることが見込まれます。

 

そもそもインフレというのは粘着します。景気後退に陥った後に再び金融緩和を行えば1970年代のようにインフレが何波にもわたっておしよせます。

1970年代のインフレ

 

ハイテク企業にとって2020年代は非常に厳しい環境が継続することが想定されます。

このように特定のセクターに投資をするファンドは、ブームが終わると大きく下落するという傾向があります。

重要なのは、どのような相場であっても利益を狙うことができるファンドに投資することです。

筆者が注目して投資しているのがヘッジファンドです。ヘッジファンドは以下の通り下落相場をうまく操縦しながらインデックスよりも高いリターンを残しています。

インデックスに対して優れたヘッジファンドのリターン

 

証券アナリストでもある筆者の観点から、安定したリターンを狙えるファンドをランキング形式でお伝えしていますのでご覧いただければと思います。

 

 

 

ロイヤル・マイルの掲示板での口コミや評判

最後に評判だけ覗いてみましょう。

 

 

 

掲示板

 

米国金利上がる一方だし 巨額QT始まって 逆イールド発生 リセッション開始 まだまだ下がる要素しかない ここから3割~5割ぐらい下がる覚悟は必要でしょう
復活は3年~5年後ぐらいじゃないかな? 4ケ月前にポジション大きく減らしてます

 

ボロクソな成績、モーニングスターの賞とか取ると皆大惨事になるここ30年は

 

ここは1000上がっても 2000円下がるねなんぼ口数増えても基準価格が上がらんとお金はドブに捨てるだけやで、ピーク時の半値か? 米国株式もうひとつやしな 物価は高いしどうする!
アンタッチャブルのビデオ観るわ

 

レバレッジでもないのに20%以上の損失が出たので、失望しています。
悩んだ末、毎日1/5くらい売却することにしました。
一機に売却しないのは、急にリバウンドが来たら後悔することになるからです。
買い増しするのは、また投資に順風が吹いているときで十分間に合うと思っています。

 

2022年の下げで萎えている人が多そうですね。

 

まとめ

ベイリーギフォードは世界の株式に分散投資をしている投資ファンドです。

ハイテク企業に多く投資しているのでリターンは高くなっていますが、あくまで昨年のブームにライドオンしたという側面が強く今後安定的にリターンをだせるかは懐疑的です。

 

実際、年初来からのリターンは全世界株式を下回ったものとなっています。

もっと良い投資先はいくらでもあるでしょう。

 

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締め括り

 

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資産運用で資産を増やす方法は様々あります。効率を求めるのであれば、株式投資が最良の選択肢であることは疑いようのない事実です。

過去の歴史を見ると、それは火を見るより明らかです。「市場が伸びるところ」が最も効率よいです。苦労なく成果を挙げられます。

 

各資産の超長期リターン

 

しかし、株式投資も医者になるくらい勉強をしなければ勝てません。であれば、我々は早々にリスクの高い個別株投資という選択肢は捨てるべきです。

そして、投資のプロが運用する「ファンド」(投資信託、ETF、ヘッジファンド)を選ぶべきなのです。

ここでファンド選びが最も大切です。長年、筆者も資産運用を実施してきました。

 

結局は絶対にマイナスになる年を作らない、小さい利回りでも良いのでしっかりプラスを出す、それを長年続けるファンド。このようなファンドを活用することがベストプラクティスであり、正しい資産運用です。資産が強烈に伸びていきます。

 

上記の条件を主眼に置きながら、筆者のポートフォリオを構成するファンドを中心にランキング記事を作成してみましたので参考にしてみてください。

 

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