楽天グループの個人向け社債(カードマン債)の評判や利回り、リスクを徹底評価

資産運用の知識

楽天グループの個人向け社債(楽天ドル建債&楽天カードマン債)の評判や利回り、リスクを徹底評価

楽天グループといえば、EC(インターネットショッピング)プラットフォーマーであり、楽天銀行、証券、携帯事業と幅広い事業を展開している大手企業といったイメージです。

社長は三木谷氏、とても有名な経営者ですよね。

 

そんな楽天グループですが、現在時点で楽天グループでドル建て社債、楽天カード株式会社でも社債を発行しています。

「あの楽天が倒産するわけがない」と多くの個人投資家が当該社債に群がっている状況ですが、本当に魅力的な社債なのでしょうか?

 

ソフトバンクの社債に関しても「あのソフトバンクが倒産するはずがない」と個人投資家の間でソフトバンク劣後債が人気になりました。

投資して大丈夫?2022年も売り切れで評判のソフトバンクグループの社債(劣後債)の危険性について紐解く

 

楽天が発行している社債はどうなのでしょうか?

 

 

楽天グループ社債(ドル建て債)の概要

楽天グループの社債は最近ニュースが出ていました。年限2年のディスカウント債です。年率はなんと10.250%です。

発行日は11月30日となっています。

 

楽天グループは24日までに、ドル建ての無担保優先債の発行条件を決めた。年限2年のディスカウント債で、利率は年10.250%。割引分を加味した最終的な利回りは12%となる。発行額は総額5億ドル(約700億円)。調達資金はモバイル事業への資本投資や、債務返済を含む運転資金に充てる。

 

赤字が続くモバイル部門のテコ入れに社債発行を活用するみたいですが、内容は2年債を5億ドル(700億円程度)となっています。

公式発表はまだですが、過去2021年に発行したユーロ建て、ドル建てで発行した永久劣後債以来です。

 

まだまだ情報が少ないのでブルムバーグの記事を参考にしてみます。

 

楽天Gはモバイル事業の不振が続き、11日に発表した22年1ー9月期決算は最終損益が過去最大の赤字となった。S&Pグローバル・レーティングは9月に楽天Gの発行体格付け「BB+」を格下げ方向の「クレジット・ウオッチ」(CW)に指定。年内にCWを見直す考えを示しており、銀行子会社の新規株式公開(IPO)などで資本性資金を調達し、財務悪化に歯止めをかけられるかが焦点になっている。

 

格付けがこれからBB+からCWに指定される企業の社債ですか。そもそもBB+は「投機的水準」です。

社債や発行体の債務を償還する確実性を表すもので、債務が履行されない可能性が高い状態のこと。「投資不適格」ともいう。主な格付け会社では「ダブルB格相当以下」を投機的としている。投機的水準の企業が発行する債券はジャンク債あるいはハイ・イールド債と呼ばれ、相対的に金利が高く、リスクが高くなる。対義語は「投資適格」。

野村證券

 

投資適格 AAA
AA
A
BBB
BBB-
投機的水準 BB+
BB
B
CCC
CC
C

 

 

「この人はあまり信用できませんよ」と国から言われている人にお金を貸すようなものだと思うのですが、多くの人は「楽天が倒産するはずがない」と信じて群がるのでしょうね。

故に利率は年10.250%となっています。10.250%を魅力的だ!と飛びつくのではなく、10.250%払ってでも楽天は金が必要だ、と猜疑心を持つようにしてください。

既に2021年、2022年5月にも機関投資家向けと個人向けで調達しており、まだ資金が足りないのかと思ってしまいます。

 

  ブルームバーグのデータによると、楽天Gは円建てでも昨年11月に機関投資家向けに総額3000億円を起債。今年5月には個人向けに1500億円を起債している。

 

筆者としても楽天が10.250%の利率で資金調達をすると聞くと、何かが物凄い勢いで崩壊しているとしか思えません。

そして根本的な部分になるのですが、ドル建てですか。米FRBがここまで急速に利上げを実施し、円安が大幅に進みましたが、インフレのピークアウトの兆しが見えています。

 

インフレがピークアウトということは、利上げをする必要もなくなります。また、今回は急ピッチな利上げで経済にほつれが出て、不況に陥る可能性もあり、その際は大きく利下げしなければならない局面が出てくる可能性もあります。

つまり、大幅な円高のリスクもあるのです。

楽天の社債が10年や20年であれば、上記のような景気サイクルはあまり気にしなくても良いかもしれませんが、2年後であれば大幅に円高になっている可能性もあります。

 

今のドル円が140円程度ですから、100円まで円高が進めば-30%となり、楽天社債への投資はまさかのマイナス運用になってしまう可能性すらあります。

 

 

楽天カードマン債(第9回無担保社債、楽天カード株式会社)

楽天グループの個人向け社債(カードマン債)の評判や利回り、リスクを徹底評価

楽天グループの個人向け社債(カードマン債)の評判や利回り、リスクを徹底評価

 

9回目の無担保社債の発行です。総額500億円、年限は5年です。

利率は1.20-1.80%(2022年12月2日に決定)と、楽天グループのドル建て社債に比べるとかなり低い利率ですが、かなり適正な水準です。

本来これくらいの利率水準であるべきです。

 

無担保社債とはいかにも危険な香りがする名前ですが、以下の通りです。楽天カードに返済する力がなくなっても、担保として差し出すものはないということです。返せなくなったらすまん、というイメージです。

無担保債とは、元利金の支払いや償還を保証するための特別な担保を付けずに発行される債券のことです。具体的には金融債や地方債、国債のほか、一般の株式会社が発行する社債についても、特定の条件を満たすことによって無担保債として発行することができます。債券は償還や支払いの確実性が重要視されるため、発行者の高い信用度が必要になります。規制緩和もあり、発行される社債の多くは、担保付きの社債ではなく無担保債が一般的になっています。

https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_0637.html

 

無担保債は発行者の高い信用度が必要になりますが、楽天カードの信用格付けは以下の通りとなっています。

 

格付機関名 長期 短期
格付投資情報センター(R&I) A- a-1
日本格付研究所(JCR) A J-1

 

R&Iの格付け定義は以下です。AA格からCCC格については、上位格に近いものにプラス、下位格に近いものにマイナスの表示をすることがあります。プラス、マイナスも符号の一部です。

長期

AAA 信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。
AA 信用力は極めて高く、優れた要素がある。
A 信用力は高く、部分的に優れた要素がある。
BBB 信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。
BB 信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。
B 信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。
CCC 債務不履行に陥っているか、またはその懸念が強い。債務不履行に陥った債権は回収が十分には見込めない可能性がある。
CC 債務不履行に陥っているか、またはその懸念が極めて強い。債務不履行に陥った債権は回収がある程度しか見込めない。
C 債務不履行に陥っており、債権の回収もほとんど見込めない。

短期

a-1 短期債務履行の確実性は高い。
a-2 短期債務履行の確実性は高いが、上位の格付に比べると、注意すべき要素がある。
a-3 短期債務履行の確実性は当面問題ないが、環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。
b 短期債務履行の確実性はa格と同等ではなく、注意すべき要素がある。
c 最低位の格付で、債務不履行に陥っているか、またはその懸念が極めて強い。

 

日本格付研究所(JCR)は以下です。

AAA 債務履行の確実性が最も高い。
AA 債務履行の確実性は非常に高い。
A 債務履行の確実性は高い。
BBB 債務履行の確実性は認められるが、上位等級に比べて、将来債務履行の確実性が低下する可能性 がある。
BB 債務履行に当面問題はないが、将来まで確実であるとは言えない。
B 債務履行の確実性に乏しく、懸念される要素がある。
CCC 現在においても不安な要素があり、債務不履行に陥る危険性がある。
CC 債務不履行に陥る危険性が高い。
C 債務不履行に陥る危険性が極めて高い。
D 債務不履行に陥っていると JCR が判断している。
J-1 短期債務履行の確実性が最も高い。「J-1」の中でも特に短期債務履行の確実性の高いものについ ては「J-1+」で表す。
 J-2 短期債務履行の確実性は高いが、J-1 より若干劣る。
 J-3 短期債務履行の確実性は認められるが、環境の悪化による影響を被りやすい。
 NJ 上位等級より、短期債務履行の確実性が劣る。
 D 債務不履行に陥っていると JCR が判断している。

 

格付けを見る限りは楽天カードの社債は悪くないように見えます。利率は当然低いですけどね。信用が高いので、利回りが低くても人が集まるということです。

 

社債のリスクとは?(信用リスク(倒産・格付け低下、為替リスク)

まず、当然ですが社債を発行している企業が倒産してしまえばお金は返ってきません。

そこらへんのおっさんにお金を貸して、おっさんが死んだら金は返ってこないのと同じです。

 

楽天をそこらへんのおっさんと一緒にするのはアレですが、どこまで楽天を信用できるのかに尽きると思います。しっかり財務分析をしてから社債を購入していますか?

「あの楽天が倒産するはずがない」「あのソフトバンクが倒産するはずがない」などよく聞きます。人は変わりませんね。

 

「あのJALが倒産するはずがない」と多くの人々が信じて株を買い、JALは倒産して株価は一円になりました。1兆円企業が倒産したのです。

 

「日本航空(JAL)」といえば日本の空を支える大企業ですが、実は破綻の歴史があります。 破綻時の負債総額2兆3000億円は事業会社として平成最悪。今でこそ株式の時価総額は1兆円に迫っていますが、破綻が確実視された当時は株価が1円になるまで売り込まれました。

https://media.finasee.jp/articles/-/10409

 

「あの東電が倒産するはずがない」と東電の株を持っていた人たちも大損失を被りました。最高値の1/8になっています。

東電の株価

 

つまり、何の分析もせず、◯◯が倒産するはずがない!というのは不勉強な人の言葉です。絶対に口にしないようにしてください。そして、最低限、投資する先、社債を購入する先の財務諸表は読むようにしましょう。読まないのであれば投資をしない、社債を買わない。とてもシンプルです。

 

また、格付け機関に話を移すと、時は2008年、米国ではリーマンショックが起きました。

リーマンショックの中心にあったのはサブプライムローンで、貧困世帯に住宅ローンを組ませ、そのジャンク債権を他の金融商品と混ぜ、金融機関が格付け機関に最高評価の格付けを当該商品に付けさせ、世界中の機関投資家、富裕層に売り捌いたことで大パニックが起きました。

資本主義と金融システムの崩壊でした。現代でリーマンショックの教訓もあるので、格付けはしっかりしてるものだろうと信じたいものですが、どこか、企業から金貰って操作しているのでは?と思ってしまう自分がいます。

 

格付けが良いからと言って、楽天カードにお金を貸したいとは思えないのが筆者です。楽天グループに関しては格付けが投機的水準であることからもはやあり得ないのですが、派手な利回りを見て多くの投資家が駆け込むものと思います。

基本的には、このような商品には興味を持たないようにしてください。

 

楽天グループが発行するドル建て社債に関しては、上記でも触れましたが円安がだいぶ進んでしまったのでこれから入るのは危険ですね。

理由は上記で解説した通りです。

為替チャート・FXチャート 米ドル/円(USD/JPY)

 

楽天グループの業績

あまり気が進みませんが、少し楽天グループの業績を確認したいと思います。

楽天グループが展開している主な事業としては以下です。

  1. EC(インターネット・ショッピングモール「楽天市場」、オンライン書店「楽天ブックス」、電子書籍「楽天Kobo」、ファッション通販「Rakuten Fashion」、フリマアプリ「ラクマ」)
  2. 通信&エナジー(移動通信サービス、携帯キャリア「楽天モバイル」、光ブロードバンド回線「楽天ひかり」、電力供給「楽天でんき」、IP電話、クラウドサービス)
  3. 金融(オンライン証券取引サービス「楽天証券」、インターネットバンキング「楽天銀行」、保険「楽天生命」、損害保険「楽天損保」)
  4. カード&ペイメント(クレジットカード「楽天カード」、プリペイド型電子マネー「楽天Edy」、決済サービス「楽天ペイ」)
  5. ライフ&レジャー(総合旅行「楽天トラベル」、ゴルフ場予約「楽天GORA」、プロ野球球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」)
  6. 「楽天西友ネットスーパー」、配送サービス「楽天ドローン」、「楽天カーシェア」

 

幅広いですね。今回のドル建て社債の調達の目的は携帯キャリア業が赤字であり、使徒はそちらになる予定との見方が多いです。

財務面を見ていきます。2019年から悲惨な状況ですね。大赤字であり、キャッシュが産めていません。社債が必要なわけですね。

 

(単位:100万円)

決算期

売上高

(前期比)

営業利益

(前期比)

経常利益

(前期比)

当期利益

(前期比)

EPS

BPS

2007/12/1 213,938 5.20% 118 -99.60% 2,376 -92.20% 36,898 1265.60% 23.3円 121.8円
2008/12/1 249,883 16.80% 47,151 39858.50% 44,531 1774.20% -54,977 -249.00% -円 94.4円
2009/12/1 298,252 19.40% 56,649 20.10% 54,890 23.30% 53,564 197.40% 33.8円 128.4円
2010/12/1 346,144 16.10% 63,766 12.60% 62,301 13.50% 34,956 -34.70% 22.0円 149.7円
2011/12/1 379,900 9.80% 71,343 11.90% 68,822 10.50% -1,139 -103.30% -円 143.4円
2012/12 I 400,444 5.40% 50,055 -29.80% 49,106 -28.60% 20,489 1898.90% 12.9円 148.5円
2013/12 I 518,568 29.50% 90,244 80.30% 88,610 80.40% 42,900 109.40% 27.1円 188.8円
2014/12 I 598,565 15.40% 106,397 17.90% 104,245 17.60% 70,614 64.60% 44.5円 265.3円
2015/12 I 713,555 19.20% 94,689 -11.00% 91,987 -11.80% 44,436 -37.10% 28.0円 416.6円
2016/12 I 781,916 9.60% 77,977 -17.60% 73,923 -19.60% 37,995 -14.50% 24.0円 428.1円
2017/12 I 944,474 20.80% 149,344 91.50% 138,082 86.80% 110,585 191.10% 69.7円 429.9円
2018/12 I 1,101,480 16.60% 170,425 14.10% 165,423 19.80% 142,282 28.70% 89.7円 487.4円
2019/12 I 1,263,932 14.70% 72,745 -57.30% -44,558 -126.90% -31,888 -122.40% -円 463.0円
2020/12 I 1,455,538 15.20% -93,849 -229.00% -151,016 -238.90% -114,199 -258.10% -円 383.1円
2021/12 I 1,681,757 15.50% -194,726 -107.50% -212,630 -40.80% -133,828 -17.20% -円 688.3円

 

2022年に関しては以下ですが、純損失は2600億円程度となっています。凄い規模感ですね。見間違いかと思ってもう一度見ましたが本当でした。

楽天決算

 

社債を返す原資、あるんでしょうか?営業キャッシュフローもマイナスなので、当然フリーキャッシュフローもマイナスです。

 

楽天キャッシュフロー

 

まとめ

ここから事業領域ごとの分析、見通し、成長率、楽天を保有している機関投資家の属性、来年の見通し、新規事業、業界での立ち位置、BSの健全性など見ていきたいところでしたが、あまり意味がなさそうなのでやめます。

まずはドル建て社債の10.250%という利率に疑問を抱かないようではダメだと思います。リスクは上記で解説した通りです。信用リスク、為替リスクの二本立てです。

楽天カードマン債は利率は低いですが、信頼感は遥かにありますので、30億円くらい持っている人は1億円くらい入れてみるのもありかもしれませんね。

 

 

締め括り

 

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