「安定してお小遣いをもらいたい」という気持ちから高配当利回りの投資信託に投資をされている方は多いと思います。
そのような方の投資対象として配当利回り30%近くをほこるニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)に興味を持っている方も多いかと思います。
ニッセイグローバル好配当株式プラスは海外の株式に投資をしているということもあり注目度も高い投信となっています。
当サイトでは他にも全世界に投資する投信を取り上げていますので興味のある方はご覧ください。
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今回はニッセイグローバル好配当株式プラスについて特徴と運用実績を中心にお伝えしていきたいと思います。
ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)はどんな投資信託?
ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の特徴についてみていきたいと思います。
2つの戦略でインカムゲインを狙う
まずは2つの戦略で年率7%のインカムゲインを狙います。
まずは高配当銘柄に投資して年率3.5%の配当収入を狙います。
更にプレミアムプラス戦略で3.5%のインカムゲインをとり合計で7%を狙う方針としています。
プレミアムプラス戦略については複雑な戦略なので次の項目で詳しくお伝えします。
プレミアムプラス戦略とは?
プレミアムプラス戦略ではオプションを用いて収益獲得を目指します。
プレミアムプラス戦略で用いるのはコールオプションです。コールオプションは定めた金額以下の値動きを捨てて価格上昇を追い求める金融商品です。
コールオプションを売ると、ある一定以上の価格になると損失が発生するものの、その価格以下であればオプション料を受け取ることができいます。
プレミアムプラス戦略が用いるのはコールオプションの売りです。
コールオプションの売りと現物の買いを組み合わせることで以下のような損益図を作り出します。これがカバードコール戦略と言われるものです。
カバードコール戦略はある一定以下の価格となれば損失が発生しますが、それ以上の価格であればオプション料をインカムゲインとして受け取ることができる戦略です。
成熟高配当銘柄でキャピタルゲインも狙う
また、インカムゲインだけでなく成熟高配当利回りの企業でキャピタルゲインを狙っていきます。
2023年6月末時点での構成上位銘柄は以下となります。
GAFAMのようなグロース企業はなく、配当利回りが高い成熟銘柄を中心に組み入れています。2022年10月より1位のインテル以外は大きく顔ぶれが変わっています。
株価変動によるものが大きいと思います。
2023年6月末 | 2023年3月末 | 2022年10月末 | |
1 | インテル | インテル | インテル |
2 | コンチネンタル | コンチネンタル | ウォルグリーン・ブーツ |
3 | モルソン・クアーズ | ブリヂストン | スタンダード・チャータード |
4 | パナソニック | ハイデルベルグセメント | IBM |
5 | インテーザ・サンパオロ | 電通グループ | ウニクレディト |
6 | グラクソ・スミスクライン | オランジュ | モルソン・クアーズ |
7 | KDDI | インテーザ・サンパオロ | シェル |
8 | オランジュ | グラクソ・スミスクライン | イタリア炭化水素公社 |
9 | スタンダード・チャータード | KDDI | サノフィ |
10 | 電通グループ | サノフィ | ヘンケル |
インテルは1年間株価が下落を続けましたが、それでもポートフォリオ1位です。
昨年10月末まではイギリスが最大ポートフォリオで珍しい銘柄でしたが、現在は米国がトップとなっています。
2023年6月末 | 2023年3月末 | 2022年10月末 | |
米国 | 26.90% | 23.70% | 21.70% |
イギリス | 16.80% | 19.50% | 23.1% |
日本 | 15.50% | 14.50% | 16.20% |
ドイツ | 13.30% | 14.00% | 11.90% |
フランス | 10.70% | 10.60% | 9.70% |
イタリア | 4.90% | 6.00% | 7.00% |
スイス | 2.20% | 2.20% | 2.10% |
台湾 | 2.40% | 2.10% | - |
韓国 | 2.30% | 2.00% | - |
その他 | 4.90% | 5.50% | 8.30% |
毎月決算型で高配当利回りだが殆どが特別分配金となっている
毎月分配金は30円となっています。年間ベースだと360円となります。
現在の基準価額は1700円となっていますので、配当利回りは20%を超えるレベルとなっています。
しかし、ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)のリターンは20%に到底届く水準ではありません。
つまり、得られた利益だけでなく元本から分配金を払い出す特別分配金が支払われています。
信託報酬を支払いながら預金口座から支払っているような状態となっています。以前分析した以下の投信も特別分配金が支払われています。
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手数料(購入手数料/信託手数料)
手数料は以下となります。
購入手数料:3.3%
信託手数料:年率1.727%
ニッセイグローバル好配当株式プラスの運用実績
ニッセイグローバル好配当株式プラスの運用実績は以下となっています。
分配金を出さなかった場合の税引前分配金再投資基準価額は11年で約3倍となっています。
同期間の全世界株式インデックスは4倍になっているので全世界株式に比べて劣後した成績となっています。
また、実際には配当金を出している時に普通分配金の分は税金が発生しますし、元本が小さくなるので複利リターンも毀損します。
実際に毎月分配金を加味したリターンは11年で2倍程度とみるのが妥当でしょう。この好調な期間を考えると物足りないですね。
掲示板での口コミや評判
掲示板での口コミや評判は以下となります。
口コミ①
ここもうダメでしょ!
次1500円行くね
口コミ②
結局、来年には経済が低迷するのか?しないのか?
どっちなんですか?なんかネットでも来年に下がると言われたますけど
口コミ③
組んでいる銘柄個々を見てないけど、昨日
欧州 アメリカが爆上げでこの下げだけは理解できない。
リセッションを控えて今後の見通しは暗い
重要なのは今後の見通しです。2022年は世界中でインフレが発生して世界中の中央銀行は金利を引き上げてインフレに対応していました。
2023年現在、徐々にインフレは沈静化してきていますが、高いインフレによって今度は世界的な景気後退の足音が聞こえてきています。
2023年は世界的なリセッションとなることは既定路線となっています。2022年のインフレ高進局面では金利上昇によってグロース銘柄が大きく下落していきました。
グロース銘柄中心のナスダックは30%以上下落しました。
しかし、成熟銘柄が多いダウ平均は10%未満の下落で抑えられていました。
リセッションとなると今度は成熟銘柄が下落していきます。つまりニッセイグローバル好配当株式プラスに投資しているような銘柄が最もダメージを食らう可能性があるのです。
今後、リセッションが見込まれる局面での投資は控えた方が賢明でしょう。
更に、リセッションになると米金利低下により日米金利差が縮小して円高に逆回転します。
日本側の金融政策の転換も円高を後押しします。以下の通り既に日本のインフレ率は米国のインフレ率を上回っており日本の金融緩和の維持も限界が来ています。
2022年は152円まで究極的に円安が進行しましたが、2023年以降は120円近辺までおしもどされることが想定されます。
円建でみると深刻な結果となることが見込まれます。
まとめ
今回のポイントは以下となります。
ポイント
- 高配当銘柄とオプション戦略によってインカムゲインとキャピタルゲインを狙う投信
- 分配利回りが高く特別分配金をだしている
- 全世界株式の平均より低いリターン
- 来年のリセッションでは厳しい展開が想定される