資産運用の知識

「国債は買ってはいけない」と聞くが実際は儲かる?

どうしても保守的に資産運用をしたいと考えている人が手を出しがちなのが国債だと思います。

なぜなら簡単に言えば国債とは国への貸付であり、デフォルトしない限りは元本保証と同義に捉えられがちだからです。

 

実際に安全といえば安全で、損失も出ず利息を受け取れるのは魅力ですが、それは対局的に物事が見られていません。

今回は国債を買う是非について、解説していきたいと思います。

 

債券投資とは何か、国債・社債の2種類

一応、債券投資とは何を指すのかをここで述べて起きます。

債券には国債・社債の二つがありますが、国債は国が発行する債券、社債は会社が発行する債券です。

読んで字の如くですね。

 

基本的には仕組みは一緒ですので国債に絞って話をします。国債へ投資する場合、その投資したお金が何に使われるかというと、国・地方公共団体・民間会社への補助などです。

国に貢献するためにお金を貸す、という動機でもよいかと思います。国債に投資をしている人は利子を受け取ることができ、満期時には投資した額面がそのまま返ってきます。

 

ほぼ元本保証と言えるのに、利息も貰えて元本も満期になると返ってくるので素晴らしい投資ですよね。

 

 

国債はなぜ買ってはいけないのか?債券投資のメリット・デメリット

上記のように債券は素晴らしい投資なのにどうして国債は買ってはいけないという人が後を絶たないのでしょうか?ここでは債券投資のメリットデメリットを洗い出していきましょう。

 

メリット:運用計画が立てやすい

債券投資は定期的に利息を得ることになります。

債券は金融商品ですから、債券価格自体は変動します。しかし、債券投資家の利回りは固定されており、ボラティリティに合わせて運用計画を変更する必要がありません。

 

メリット:換金が容易

債券は満期を迎える前でも、現金に戻すことが可能です。

国への貸付、会社への貸付、などと聞くと仰々しいのですが、意外にも容易に換金することができますので、柔軟性が高いです。

 

デメリット:利回りが当然低い(日本国債の金利水準をチェック)

利回りは間違いなく低いです。リスクリターンという言葉がありますが、リスクが低ければ当然リターンは高くありません。

2022年7月現在の日本国債の利回りは以下のとおりです。40年で1.25%です。基本的には10年程度が債券投資の基本では検討すべき年限ですが、0.246%しかありませんね。

非常に妙味が少なく、100億円を持っているのであれば毎年2000万円くらい受け取れるのかなという感じです。100億円をもっとうまく使えと言いたくなってきます。

 

世界の国債

名前 利回り 前日終値 高値 安値 前日比 前日比%
日本 1月 -0.144 -0.14 -0.144 -0.144 -0.004 -2.86%
日本 3月 -0.139 -0.135 -0.139 -0.139 -0.004 -2.96%
日本 6月 -0.189 -0.13 -0.189 -0.189 -0.059 -45.38%
日本 9月 -0.129 -0.125 -0.129 -0.129 -0.004 -3.20%
日本 1年 -0.107 -0.104 -0.097 -0.106 -0.003 -2.40%
日本 2年 -0.071 -0.069 -0.063 -0.073 -0.002 -2.90%
日本 3年 -0.062 -0.065 -0.051 -0.064 0.003 4.62%
日本 4年 -0.019 -0.028 -0.008 -0.022 0.009 33.93%
日本 5年 0.019 0.009 0.03 0.011 0.009 105.56%
日本 6年 0.097 0.081 0.111 0.09 0.015 19.14%
日本 7年 0.176 0.126 0.194 0.144 0.051 40.08%
日本 8年 0.205 0.191 0.221 0.201 0.013 7.07%
日本 9年 0.228 0.221 0.234 0.225 0.006 2.94%
日本 10年 0.246 0.244 0.249 0.244 0.002 0.61%
日本 15年 0.639 0.626 0.654 0.631 0.013 2.08%
日本 20年 0.929 0.902 0.945 0.911 0.027 2.99%
日本 30年 1.25 1.23 1.247 1.224 0.019 1.59%
日本 40年 1.336 1.392 1.411 1.394 -0.057 -4.06%

 

ちなみにウクライナ危機で渦中のロシアは以下の通り高い利回りとなっています。10年国債で9%です。でも、戦況次第ではどう転ぶかわからないのでとても大事な資産は投じることができません。それ故の高金利です。

 

名前 利回り 前日終値 高値 安値 前日比 前日比%
ロシア 翌日 19.5 6.05 19.5 19.5 0 0.00%
ロシア 1週 18.89 6.09 18.89 18.89 0 0.00%
ロシア 2週 19.19 6.08 19.19 19.19 0 0.00%
ロシア 1月 20.3 6.05 20.3 20.3 0 0.00%
ロシア 2月 21.43 6.01 21.43 21.43 0 0.00%
ロシア 3月 22.31 5.99 22.31 22.31 0 0.00%
ロシア 6月 23.42 5.97 23.42 23.42 0 0.00%
ロシア 1年 11.14 11.14 11.55 11.14 0 0.00%
ロシア 2年 9.285 9.31 9.87 8.95 -0.025 -0.27%
ロシア 3年 9.38 9.37 9.67 9.38 0.01 0.11%
ロシア 5年 9.27 9.27 9.33 9.27 0 0.00%
ロシア 7年 8.93 8.94 8.93 8.92 -0.01 -0.11%
ロシア 10年 9.15 9.13 9.24 9.13 0.02 0.22%
ロシア 15年 9.355 9.41 9.45 9.2 -0.055 -0.58%
ロシア 20年 9.04 9.07 9.15 9.02 -0.03 -0.33%

 

 

デメリット:換金時の債券価格次第では損失も

上記で述べたように、債券価格は上下します。

以下は日本国債の利回り推移です。一貫して下落しております。年限がある債券では、買われれば買われるほど利回りは下がります。現在日本銀行が国債の指値オペを実施しており、債券は買われ続け、利回りは低いままです。

 

日本国債 10年

 

 

▼指し値オペ 日銀が金利の上昇(債券価格の下落)を抑えるため、国債を指定した利回りで原則として無制限に買い入れる制度。長期金利に事実上の上限を設ける。2016年9月、長期金利を0%程度、短期金利をマイナス0.1%に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を採用し、その手段として導入した。21年3月には許容する長期金利の変動幅を「プラスマイナス0.25%程度」と明示し、複数日にわたって指し値オペをうつ「連続指し値オペ」の導入も決めた。

指し値オペとは 指定利回りで日銀が国債を無制限購入

 

どうしてこの指値オペを継続するかというと、ここでは趣旨が異なるので割愛しますが、簡単に言えば景気が加熱していないにも関わらず、金利が上昇してしまうと経済が崩壊に向かうからです。

金融政策を実施する背景なども学習してみるとよくわかると思います。別で筆者も一度まとめて見たいと思います。

 

日本国債に関しては、現在限界まで債券が買われている状態ですので、今後売られるダウンサイドしかなく、満期を迎えず換金する場合は損失が出るしかないといった状態です。

 

 

デメリット:デフォルトリスク

国の財務状況が悪化し、返済能力がなくなれば当然お金は返ってきません。

米国や日本であればデフォルトのリスクは少ないと思いますが、人によっては好んで新興国の債券を購入するなどの話を聞きますので、デフォルトリスクについては理解しておくべきです。

読者の方は興味を持たないと思いますが、アルゼンチンなんかは常にデフォルト回避のために奔走しているという感じです。

 

アルゼンチンは昨年、パリクラブ向け債務のデフォルトが懸念されたが、返済条件の交渉合意によりデフォルトは回避された。他方、政権を取り巻く状況は厳しさを増したが、その後もフェルナンデス政権はIMF及びパリクラブとの債務再編交渉を継続させた。IMFとの交渉は今年1月に基本合意、今月には最終合意に至った。また、今月末に迫ったパリクラブとの債務再編交渉も3ヶ月延長で合意し、デフォルトは回避された。

アルゼンチン、デフォルト回避へ模索が続くも、先行きの道のりは険しい

 

 

個人向け国債で日本国債を購入できる

財務省が1万円から購入できる個人向け国債を提供しています。1万円を国に貸して1%以下の利息ですが、たしかに0.00-%などの定期預金よりはマシなのかもしれません。

財務省の日本国債

 

「国が発行しているので安心です。」などと素晴らしい誘い文句が掲載されています。換金は1年以上経過しないとこの場合はできないようです。

 

国債のメリット

 

詳細は以下です。上記では10年債は0.246%だったのにこちらは0.17%さらに不利になっています。

個人向け国債の金利情報

10年満期 5年満期 3年満期
変動or固定 変動金利 固定金利 固定金利
金利設定 基準金利0.66% 基準金利-0.05% 基準金利-0.03%
金利の下限 0.05%(年率)
利子の受け取り 半年毎に年2回
購入単価 最低1万円から1万円単位
中途換金 発行後1年経過すれば中途換金可能

 

変動ですので上昇する可能性はありますが、上記で示した指値オペなど、イールドカーブコントロールを行っている状況ではかなり期待が薄いです。

 

米国債はどうか?

日本国債がダメならば、世界経済の王者である米国債なども気になるところです。

筆者も5億円以上資産があれば考えたい金融商品です。以下は7月現在の利回りです。

 

名前 利回り 前日終値 高値 安値 前日比 前日比%
アメリカ 1月 1.5887 1.545 1.592 1.556 0.044 2.83%
アメリカ 3月 1.9532 1.948 1.958 1.925 0.005 0.27%
アメリカ 6月 2.621 2.606 2.644 2.605 0.015 0.58%
アメリカ 1年 2.8832 2.865 2.886 2.842 0.018 0.64%
アメリカ 2年 3.012 3.041 3.039 2.992 -0.029 -0.95%
アメリカ 3年 3.0318 3.065 3.062 3.009 -0.033 -1.08%
アメリカ 5年 3.0197 3.054 3.054 3 -0.034 -1.12%
アメリカ 7年 3.0495 3.081 3.085 3.035 -0.032 -1.02%
アメリカ 10年 2.982 3.008 3.015 2.969 -0.026 -0.88%
アメリカ 20年 3.4377 3.459 3.473 3.429 -0.021 -0.62%
アメリカ 30年 3.175 3.196 3.207 3.168 -0.021 -0.65%

 

10年債券が2.982%となっており、そこそこ良い水準ですね。5億円持っていて2億円は米国債で安定運用の道を探っても良いのかもしれません。

しかし、現在は円安です。1ドル135円の水準ですので、今から米国債で運用するのかというとかなり厳しいでしょう。

USDJPY:CUR

 

1980年代より、途方もない金融緩和が米国FRBによって実施されてきました。そしてついにその低金利政策は止まることのないインフレを生み出しました。

 

 Market Yield on U.S. Treasury Securities at 10-Year Constant Maturity, Quoted on an Investment Basis (DGS10)

 

今はそれが巻き戻しに入っており、急激な引き締めは景気を破壊し不況を呼び起こします。不況を呼び起こすほどの政策を取らなければ、インフレは止まらなくなってしまいました。

結果的に、現在は円安で米国債券はとても買える水準ではありませんが、3、4年後の米国が不況に陥り、日米金利差が縮小したタイミングであれば円高が進み、債券投資への障壁がなくなると思います。

ただし、米国が不況ということは、米FRBは利下げに転じますので、米国債が今のように3%近い水準であることもないでしょう。つまり、日本人投資家からすると米国債は非常に買いづらい商品であるということです。

今米国債を買っても、非常に実現確率が高い円高リスクを抱えることになります。

 

 

まとめ

日本の債券は利回りがあまりにも低すぎる、米国債は魅力的な利回りでも為替リスクを抱えると八方塞がり状態です。

そもそも利回りが低く、肌感ですが資産が5億円を超えるなどの水準でない限り、もう少しリスクをとって資産を増やすことに専念した方が良いかと思われます。

 

 

締め括り

 

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上記の条件を主眼に置きながら、筆者のポートフォリオを構成するファンドを中心にランキング記事を作成してみましたので参考にしてみてください。

 

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