太古の昔から金は人々を惹きつけてやみません。
金の宝飾品、金の茶室、金メダル等々、実社会でも活用されてきました。通貨としての価値を持っている時代も長い時間ありました。
むしろ、現在のような貨幣経済より金がお金だった時代のほうが長いですね。
現代では金は価値の変わらない投資対象として注目されています。
皆さんの中にも既に純金積立や金価格に連動するETFに投資するなどして、既に金投資を始めている方もいらっしゃると思います。
筆者は2016年に投資した金が円安の影響もあり2倍になりました。しかし、今投資を進めるかと言われるとNoです。
今回は金投資で気をつけるべきポイントと、なぜおすすめしないのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
金という資産の特徴
まずは金投資の特徴についておさらいします。
利益を出すことはなく配当を生まない
まず、金は金として存在はしまうが利益を生んだりはしません。
金は何年経っても金でしかないのです。
利益を生まないものは配当金を拠出することはありません。
金自体の価値が上昇することはないことは頭に入れておきましょう。
あくまで紙幣との相対的な価値の上下によって評価されます。
実質金利の下落が価格上昇要因
先ほど金は配当金を出さないと申しました。しかし、紙幣を債券に投資することで金利を得ることができます。
しかし、一方インフレによって紙幣の価値は下落します。
同じ林檎が100円が200円になるということは1円の価値が小さくなることを意味しますからね。
得られる金利からインフレ率を差し引いたものを実質金利といいます。
実質金利がプラスということは紙幣をもつインセンティブが高まる状態ですね。反対だと紙幣の魅力はマイナスになります。
金は金でしかないので価値はかわりません。
つまり、実質金利が下がれば紙幣の価値が金に対して下がり、実質金利が上昇すれば紙幣の価値が金に対して上昇するということになります。
わかりやすく言い換えると、実質金利が上昇すれば金の価格が下がり、実質金利が下落すれば金の価格が上がるということです。
あくまで、紙幣との相対的な価値で金の価格は決定されているのです。
マネーサプライの上昇が価格上昇要因
そのほかに大きな影響を及ぼすものにマネーサプライの上昇があります。
マネーサプライとは市場に流通している通貨の総量です。
多いものの価値が減少するというのは大原則です。これは通貨にも適用されます。
インフレをもたらす最大の要因はマネーサプライの上昇です。
金本位制の崩壊以降、各国は通貨の総量を増加させて経済を活性化してきました。
以下は米国のM2ですが一貫して上昇しています。
上記におおむね連動する形で金の価格も上昇してきています。
世界のGDPの上昇も価格上昇要因
当然、世界が裕福になれば宝石などの実需として金の需要が高まり金価格が上昇します。
特にインド人や中国人は金が好きなので、両国の購買力が上昇すれば金の価格上昇圧力になります。
地政学リスクが発生すると金の上昇要因となる
有事の金という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
世界の危機が発生するときに一般的に金と日本円は買われる傾向にあります。ただ、後でお伝えする通り最近変わってきています。
オルタナティブ投資先として注目されている
金は株式市場とは連動しないオルタナティブ投資としても注目されています。
→ エンダウメントの投資戦略を参考に長期的に資産を形成しよう!オルタナティブ投資を活用し資産分散を行うメリットについて
オルタナティブ投資を組み入れることでポートフォリオ全体の安定性を増すことができます。
株式や債券と同じ動きをする投資先にばかり投資していれば、暴落時に資産全てが下落する可能性もありますからね。
オルタナティブ投資には金以外にも以下のものがあります。
- ヘッジファンド
- PEファンド
- 不動産
筆者はヘッジファンドを多く組み入れることでポートフォリオの安定性を増しながら、安定的なリターンを獲得しています。
金の購入方法とは?
金を購入する方法はいくつもあります。代表的なものをお伝えします。
田中貴金属で現物の金を購入する
田中貴金属で金を売買することは可能です。円建で購入できるので日本人にとっては便利ですね。
→ 田中貴金属
また、田中貴金属は月額1000円から純金積立を提供しています。
現物の金を保有したいと考える場合に、非常に有効な選択肢ではないでしょうか。
GLDというETFを楽天証券やSBI証券で購入する
上場投資信託(ETF)という形で金を購入することができます。
GLDという米国のETFは米国株市場が空いている時間であれば、いつでも売買することができます。
楽天証券やSBI証券ですぐに購入することが可能なのでおすすめです。
短期投資先としてCFDで購入する
CFDという仕組みをつかってレベレッジをかけて購入することも可能です。
CFDとは、Contract for Differenceの頭文字をとったもので、「差金決済取引」のことを指します。
「差金決済取引」とは、一言でいうと「差額だけのやり取りが発生する取引」です。
現物での受け渡しを行わずに、反対売買によって出た金額の差で決済するため「差金決済取引」と呼ばれます。
FX取引も広い意味でCFD取引に含まれています。参照:楽天証券
GMOクリック証券などが提供しています。短期の値動きをとる売買に適しています。
金投資をおすすめしない理由
それでは本題の金投資をおすすめしない理由についてお伝えします。
結局株式投資よりもリターンが悪い
結局、金は利益を生まないのでリターンは株や債券より低くなります。価値が下がりつづける現金よりはましですが。
以下は1802年からの各資産の年率リターンの推移です。
株式(年率):6.7%
債券(年率):3.5%
国債(年率):2.6%
金(年率):0.5%
インフレ率(年率):1.4%
複利の効果は偉大です。金に投資をするというのは長期的な機会損失を追っていることになるのです。
実質金利が上昇に転じている
さきほど実質金利が下落すれば金価格は上昇して、実質金利が上昇すれば金価格は下落するとお伝えしました。
以下は実質金利の推移です。直近、米国の金融政策が引き締めに転じたことで急激に長期金利が上昇して実質金利は上昇しています。
そして上記の傾向は今後も継続することがみこまれます。
理由は米国のインフレがおさまる気配がないからです。インフレを抑え込むためにFRBは今後も金利を上昇させていきます。
結果的に実質金利は今後も上昇がみこまれるので金にとっては厳しい環境が継続することが見込まれています。
FRBが量的引き締めを実施している
米国の中央銀行であるFRBはドルを発行しつづけて以下のとおりマネーサプライを増加させつづけました。
特に2020年のコロナショック以降の伸び率が凄まじいですね。
結果的にドルがあふれてドル紙幣の価値が下落して高インフレが継続しています。
そのため、米国の中央銀行であるFRBは金利の引き上げに加えて量的引き締めの実施を2022年6月から開始しています。
つまり右肩あがりだったマネーサプライが下落に転じるということになります。
今後はドル紙幣の価値が金に対して高まりやすい環境となります。この局面からの金投資はあまり割がいいとはいえません。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
【金の特徴】
✅利益や配当を生まない
✅実質金利が下落すると金が上昇する
✅マネーサプライが上昇すると金が上昇する
✅GDPが上昇すれば金の上昇要因となる
✅地政学リスクが上昇すると金の上昇要因
【金の買い方】
✅現物、ETF、CFDの購入方法がある
【金をおすすめしない理由】
✅実質金利が上昇しており今後も上昇する懸念がある
✅マネーサプライが今後下落する
✅そもそも株式の方が圧倒的にリターンが高い
株式投資で高いリターンを目指したいという方は以下で詳しくお伝えしていますのでご覧いただければと思います。