直近2022年の上半期に急激な円安が進んだことで日本円だけを持っていることによる不安を抱いた方は激増しているのではないでしょうか?
また、日本政府の借金については世界最高レベルに高騰しています。
そのため、いつか日本円の信用がなくなり価値がなくなると恐れている方もいらっしゃると思います。
生活のヘッジのために日本円だけではなく他の通貨建の資産を保有しとかなければいけない。
そのような方の中にはFXは怖いイメージがあると考えて、外貨預金をしていらっしゃる方も多いことと思います。
外貨預金は通貨分散ができる他に保有している通貨から金利を得ることができます。
ずっと、ゼロ金利で金利を受け取ることができない円に比べて魅力的に映るのは無理のないこです。
ただ、外貨預金は残念ながら手数料の観点から経済合理性はありません。
更に、為替取引というのは皆さんが考えているほど簡単に利益を得ることができるものではありません。
本日は外貨預金がFXに比べてあらゆる面で合理性に欠けるという点をお伝えします。
その上で、そもそも通貨取引を行う上で考えておきたい注意点について、
事業会社で為替トレーダーを行なっていた筆者の視点を交えて記載していきたいと思います。
外貨預金はFXに比べてあらゆる点で劣っている
まずはっきり申し上げて、外貨預金を行うメリットといのはFXで全て享受することが出来ます。
全ての面においてFXの方が優れていると言えます。
FXと比べて異常に高い手数料
まずなんといっても手数料の高さがデメリットとして挙げられます。
三菱東京UFJ銀行によると外貨預金に預け入れる際と引き出す際にそれぞれ米ドルで25銭、豪ドルで50銭の手数料が発生します。
つまり片道で米ドルで0.2%、豪ドルで0.5%の手数料となります。往復だと米どるで0.4%、豪ドルで1%の手数料となります。
上記はインターネットバンキングの場合で窓口だと更に4倍の手数料が発生します。
一方、FX(為替証拠金取引)の手数料はどうなっているでしょうか?
大手のGMOクリック証券の手数料は以下となっています。
米ドルは片道でたったの0.2銭つまり0.002円で約0.0015%、豪ドルは往復で0.6銭つまり0.006円で0.07%となります。
同じ外貨への変換であるにも関わらず、外貨預金はFXに比べて手数料が10倍から100倍になってしまうのです。
私は為替トレーダーとして銀行と口頭で売買を行っていたのですが、その際のドル/円の手数料は1銭でした。
FXの手数料は非常に低い水準であることが分かると思います。
FXと比べて大きな資金拘束
次に資金拘束の観点からもFXに対して不利になります。
例えば、現在1USDが130円であるとすると1万USDを持とうとすると130万円の資金が必要になります。
然しFXはレバレッジ20倍で考えたとすると、1万ドルの米ドルを持つために必要なのはたったの6.5万で可能になるのです。
20倍だから20分の1で良いと考え6.5万しかいれていない場合は注意が必要です。
自分の不利な方にレートが動いた場合にすぐに追加の証拠金を入れるようにFX業者から求められます。
最大為替変動を20%と見積もって、6.5万+26万=32.5万円で1万USDを保有するのが安心でしょう。
比較すると1万USDを保有するのに以下のようになり、FXを使用することで10%~30%の資金で通貨分散を完了させることが出来ます。
外貨預金:130万円
FX:6.5万円~32.5万円
余った資金を他の有望な投資先に回すことができるようになるのです。
上級編:市場実勢で預入・引出すことが出来ない
この点は理解するのが難しいと思われます。
上記二つと比べると些細なことなので余程興味がない場合は読み飛ばしていただければと思います。
FXは為替市場が開場している間にいつでも実勢レートで売買することができます。
しかし、外貨預金の場合は実勢レートで売買することはできません。
1日に1回決定されるTTSで外貨を購入し、TTBで日本円に戻すこととなります。
TTは全てTelegraphic Transfer (電信)の略です。
TTSのSは銀行側のSellingつまり顧客側の外貨買(外貨預入)レート、TTBのBは銀行側のBuyingつまり顧客側の外貨売(外貨引出)レートと覚えて頂ければと思います。
ではこのTTM(Telegraphic Transfer Middle)とはなんでしょうか。
これは日本の為替市場の特殊な点なのですが、朝9時55分時点での為替Rateになります。昔からの慣習なのです。
TTMは、各銀行が9時55分時点にEBSというプライスボードが触ったRateの中から、選択して設定することが出来ます。
特に期末日なんかでは、各銀行で5銭程離れることがあります。
以下は三菱UFJ銀行の図で、ドルを購入する時はTTSの136.55円、預けているドルを円転する場合はTTBの136.05円が適用されます。
実勢レートで取引できないばかりか、ここでもTTSとTTBのスプレッドが銀行側の利益として落ちる仕組みになっています。
ま結論:外貨預金はFXに比してデメリットしかない
以上の点から手数料、市場実勢での取引、資金拘束全ての面でFXの方が優れているかと思います。
特に手数料の違いは大きく、外貨預金を行うメリットはないといっても過言ではないでしょう。
次に外貨取引を行う上での注意点について纏めていきたいと思います。
外貨取引(=FX)を行う注意点①:弱い個人投資家
FXで儲けてやろうとトレーディングをされる方は結構多いのではないのでしょうか?
実際日本の個人のFXを行っている人達は為替業界ではミセス・ワタナベと呼ばれ存在感を放っています。
然し、日本人の個人投資家の勝率(資産をFXで増やした人の割合)は決して高くありません。
以下は2021年に発表されたPRTIMEのアンケート調査委です。
- 調査対象:全国の男女1000人
- 調査期間:2021年2月21日〜28日
- 調査方法:インターネット(クラウドソーシングサービス)による回答
結果は以下となりました。
<調査結果:最も回答数が多かったもの>
FXの生涯収支は?:負けている(48.90%)
現在もFXをやっている?:いいえ(53.00%)
FXの生涯取引期間は?:半年〜約1年(44.34%)
なぜFXをやめた?:損をした・元手を失ったから(33.96%)
なぜFXを続けている?:勝っている・もっと稼ぎたいから(37.66%)
専業トレーダーになりたい?:いいえ(76.20%)
なぜ専業トレーダーになりたくない?:リスクが高い・収益が不安定だから(32.85%)参照:PRTIME
負けている人が48.9%ということは勝っている人が多いと考えてしまいそうになります。
しかし、勝っても負けてもいないという人が一定数おり、勝っているという人は31%にとどまっています。
また、約7割が1年以内に退場しており、個人投資家が継続的にFXで勝ち続けることの難しさがデータとして現れています。
上がるか下がるかをあてるゲームなので、基本的には勝率は50%近辺になるはずです。
しかし、明らかに他の為替市場のプレイヤーからカモにされていることが分かります。
私の為替トレーダとしての経験からいうと、為替市場で圧倒的に有利なポジションの立場が二つ存在します。
一つ目は銀行の為替トレーダーです。
為替取引は銀行を介さないと出来ないため、大きな規模の銀行には顧客の取引情報が集まってきます。
彼らはその日の注文の集まりかたから、どの水準を抜けるのが難しく、どの水準を下回れば下落が加速するか分かっているのです。
更に常に板に張り付いているので、細かい値動きを取ることもできます。
二つ目は機関投資家や大手のヘッジファンドです。
彼らは自己資金が非常に大きい為、相場自身を動かし相場の流れを作ったり変えることが出来るのです。
為替市場が勝つか負けるかの勝率が50%の市場です。
そのため、情報や資金力で勝っている銀行やファンドに個人投資家が負けているという構図となっているのです。
闇雲にFXにトレーディング目的で参入することはおすすめできません。
外貨取引を行う注意点②:低金利な先進国通貨
外貨取引を金利目的で行うかたもいらっしゃるでしょう。
現在先進国で一番高い政策金利を設定しているのは米国です。
後で詳しくお伝えしますが米国の政策金利は高進するインフレを抑え込むために2.5%-3.0%まで上昇する可能性があります。
日本はゼロ金利なので保有しているだけで金利がつく米ドルに魅力を感じる人は多いでしょう。
しかし、これはあくまでドル建の話です。
為替レートは1年間に10%、時には20%近く動くこともあります。
金利をもらった上で元本割れする可能性が十分あることは頭に留めておきましょう。
外貨取引を行う注意点③:高金利通貨の罠
日本人は南アフリカランドやトルコリラ等の高金利通貨についてSWAPポイントを狙って高金利通貨買を行いがちです。
しかし、その国の政治情勢や財政状況、経済について特に学ばず、高金利というだけで買ってしまい、
大きな危機が起こった時に大幅に下落して追証をくらうというケースをよく聞きます。
実際私の過去の取引先の方にも悲惨な方がいらっしゃいました。
南アフリカランドをナンピン買いしつづけて政治的なショックが発生して大幅に下落して全財産を失い鬱を発症していました。
例え10%の金利があったとしても為替レート自体が20%、30%時には50%も下落しては金利どころではありません。
為替レートの変動で大きく資産を失ってしまうのです。
まず考えて頂きたいのですが、なぜ金利が高いのでしょうか。
ここに立ち返らないといけません。
金利が高いのは、それだけの高金利を設定しないと誰も買ってくれないから金利を高くしているのです。
私の経験上、南アフリカも、トルコリラも、ブラジルレアルも2年に一度は大幅な下落を経験しています。
その度に日本人は大量に追証を迫られているということを繰り返していますので、慎重に考えて頂きたいと思います。
このリスクの代償として高い金利を頂いてるわけですので、金利が高いから購入というのは非常に安易な考えであるといえます。
2022年7月のドル円135円の状況下でドルを購入するべき?
では皆さんが最も気になるポイントについてお伝えしていきたいと思います。
このドル円高進の要因は日米金利差です。
日銀は日本経済が弱いので利上げできず、ずっとゼロ金利を維持しています。
しかし、米国は強いインフレが発生しています。最新の2022年5月のデータでは40年ぶりのインフレ率となっています。
現在、日本でも2%程度のインフレが発生しており食品やガゾリンの値上げで皆さん苦しんでいるかと思います。
しかし、米国のインフレは日本の5倍深刻なものとなっています。何気ない朝食が現地では5000円を超えてきているそうです。
インフレ率が高いと国民生活が困窮するので中央銀行としては対応しなければいけません。
日銀も米国の中央銀行であるFRBもインフレ率を2%で安定させることを目標としています。
現在の8%超えのインフレ率は許容できるものではなく、急いで利上げをおこなっているのです。
そのため、米国の長期金利は3.5%近辺まで上昇しておりドル円上昇の原動力となっていました。
しかし、現在の米国の長期金利の水準は歴史的にも高い水準になっています。
また、現在景気の失速が鮮明になってきており、これ以上長期金利が上昇すると米国経済がクラッシュします。
そのため、将来的な利下げを見込んで今後は長期金利が下落する方がオッズが高いとい得る状況になっています。
いままで金利差拡大で上昇してきたドル円は米長期金利が本格的に腰折れする局面で急激に円高方向に修正される可能性が高いです。
現時点からあえてドルに変換するのは悪い賭けとなると考えています。実際、筆者も全部日本円に引き戻しています。
おすすめの資産運用
為替トレーダーとして日中ずっと相場に張り付いていた経験からいうと、
外貨取引で資産を継続して形成していくことは非常に難しく資産を殖やす為にはやはり王道の株式投資が適していると考えています。
張り付いていたとしても、なかなか勝つのは難しいからです。
為替取引というゼロサムゲームをプレイするより、プラスサムで儲かる確率が高い株式市場に資金を投じた方がよいです。
株式投資の中でも筆者がおすすめするのはヘッジファンドへの投資です。
ヘッジファンドは全世界株式が下落する中においても資産をまもりしっかりと右肩上がりで資産を増やしていっています。
ヘッジファンドはいかなる市場環境でもリターンを追求する絶対収益型です。
私が投資している国内ヘッジファンド(BM CAPITAL)では毎年平均して10%以上の利回り、過去運用マイナスの年はなしと素晴らしいパフォーマンスを上げています。
記事下のランキングにもまとめておりますのでご覧いただければと思います。