皆さん株式投資をしていて、自分の保有していた株が半値まで下落して、底知れぬ恐怖を味わい痛手を蒙った。
泣く泣く損切した瞬間に株価が上昇し始めて悔しさが増幅した。
という経験をされた方は多いのではないでしょうか。実際に株式投資で負ける個人投資家は8割にのぼるとも言われています。
実際私も大学時代に東大の株式投資サークルで投資をし始めた時、投資価格の半分になった時に損切し、
その後元の価格を上回る水準まで回復して地団駄を踏んだという経験も何度もあります。
今回は、株を購入する時並びに損切をするときの心構えと、出来うる限り損失が出る可能性を極小化する方法を紹介していきたいと思います。
個人投資家が負ける理由はプロスペクト理論にあり!
まず以下の図をご覧下さい。以下は米国の過去200年の株式市場の値動きですが、短期的に暴落はありながらも長期的には右肩上がりとなっています。
全体として右肩あがりの株式市場でなぜ多くの個人投資家が負けてしまうのでしょうか?
その最も大きな理由として挙げられるのがプロスペクト理論です。
投資家は収益よりも損失の方に敏感に反応し、収益が出ている場合は損失回避的な利益確定に走りやすい。一方、損失が出ている場合はそれを取り戻そうとしてより大きなリスクを取るような投資判断を行いやすいとされる。
参照:野村證券
つまり含み損を抱えている時には塩漬けにして、少しでも利益がでると利益を確定してしまうということです。
儲ける為には損失を最小限にして、利益を最大限伸ばさないといけないのにも関わらず、その逆の行動をとってしまうのです。
投資を行う際には資金管理を徹底する必要がある
投資を行う際には徹底した規律を持って資金管理を行う必要があります。
例えば損切りをするルールです。例えば、株が持ち値から10%以上値下がりしたら、
損切りするというルールを定めたりして規律を持って相場に臨む必要があります。
その他には自分で株を購入するときに理由としてあげた事項が瓦解したときに、機械的に損切りをして資産を守る必要があるのです。
以下の事項では、まず株を購入するときの心構えを解説した上で、損切りする際の心構えについてもお伝えしていきたいと思います。
株を購入するときの心構え
まず損切の話をする前に、株を購入する際の心構えについて書いていこうと思います。
といいますのも、これが損切をするときの基準に関わってくるからです。
皆さん株を購入する時にどのように購入していますか?
なんとなく盛り上がっているからとか、有名な企業だからとか、人から勧められたからという安易な理由で株を購入してませんでしょうか?
自分の資産を投じるのであれば確りとしたロジックをもって購入しなければ行けません。
つまり確りとした分析並びに想定を行った上で、現在のある企業の株価は割安な水準でだから、
現在この株を買うことに妙味があると考えて購入するべきであるということなのです。
このロジックについて代表的なものを紹介していきたいと思います。
ロジック①:将来の株価算定方法
まず株価というのは以下の数式によって決定します。
現在の株価=EPS × PER
EPSとPER
EPSというのは一株当たり純利益のことで、純利益を発行済株式数で割ることにより算出しています。
純利益2000億円の企業の発行済株式数が10億株であればEPSは200円ということですね。
PERというのは企業の利益何年分で株価を稼ぎ出せるかという指標です。
分かりやすく不動産でいうと5000万円で売りに出されている物件の年間家賃収入が500万円であれば、
10年で元手を稼げるのでPERは10ということになります。
現在の株価をEPSで割ることにより、現在のその企業を求めることが出来ます。
PERは企業の人気指数ともいえるものです。
現在2018年3月時点で日経平均全体の平均PERは13倍を下回る水準で割安といわれており米国は26倍で若干割高となっています。
またPERは業界毎に異なる性質があるので一概にこのPERが適正という数値はありません。
未来の株価の想定
未来の時点での株価は以下のように見積もられます。
未来の株価 = 未来のEPS× 未来のPER
未来のEPSは、自己株買が発生しない場合企業の利益がどれだけ上昇するかに比例します。
純利益2000億円、発行済株式数10億株の企業の利益が1年後に2200億円になるのであれば、1株あたりEPSは220円になります。
仮に現金が潤沢な企業で自己株買を1億株したとすると、市場に流通する株は9億株になるので、1株あたりEPSは2200億円÷9億株=244円になります。
一方PERは様々な前提を置きます。現在の企業のPERが維持した場合や、現在の同業他社平均PERになった場合、
業界最低PERを適用した場合等々様々なケースを考えます。
このように想定したEPSとPERを掛け合わせて、パターンに応じて未来の株価を算定します。
ロジック②:現在の理論株価算定方法
先程は未来の株価を算定しましたが、今回は現在の株価が理論的株価に対して割安かどうかを測る方法です。
理論株価は以下のように算定されます。
=
(①純資産価値+②今後の事業価値 )
÷
発行済株式数
図にすると上記のようになります。純資産価値と今後の事業価値について順に説明していきます。
純資産価値
純資産価値は文字のごとく企業の純資産を指します。
左側は企業の資産の部です。右側が負債と純資産の部を示しています。純資産は総資産から総負債を差し引きして求めていきます。
一点純資産の構成要素にも注意が必要です。純資産の中の少数株主持ち分(親会社以外の株主に帰属する部分)は除外する必要があります。
この項目は大企業に多いのですが、親会社が部分的に子会社に出資し連結決算としている場合、
親会社に帰属する部分と親会社以外に帰属する部分にわけないといけません。
その会社に投資する場合は当然親会社に帰属する部分のみを加味しないといけないので少数株主持ち分は除外する必要があるのです。
今後の事業価値
今後の事業価値がどのように成長していくのか、又は無成長なのか、下落していくのかということを想定して算定します。
例えば今年度の純利益がaと予想され今後10年間R% (R/100=r)で成長し、資本収益率を10%とし10年存続とすると今後の事業価値は以下となります。
資本収益率は投資により、これくらいの収益が欲しいという利回りで慣習的に10%が適用されることが多い為、10%を適用して割引きます。
要は今の10万円は将来の11万円の価値があるから将来の11万円は現在価値に直すと10万円になるということですね。
a/1.1 + a(1+r) / (1.1)² + ・・・・ + a (1+r)n-1乗 / (1.1)n乗
=a/1.1 ( 1 + (1+r) /1.1 + ・・・・ + {(1+r)/1.1} (n-1)乗} )
=a{ (1.1)10乗 - (1+r)10乗 } / {(0.1 - r ) × (1.1) 10乗 }
具体的な数値でいうと今期予想純利益が200億円で成長率Rが20%(r=0.2)とした場合、今後の事業価値は2774億円ということになります。
普通にエクセルで計算した方が簡単ですが、今回は高校の時に習った等比級数の和の公式を適用しました。
Rが10%(r=0.1)とした場合発散してしまいますが、良く考えると a/1.1 × 10で求めることが出来ます。
ロジック2:まとめ
このように、求めた純資産価値と今後の事業価値を足し合わせたものを発行済株式数でわることにより理論株価を求めることが出来、
現在の株価が割安かどうかを考えることが出来ます。
損切をする時の心構え
損切をする際に一番だめなのは持ち値を意識することです。
持ち値から20%下落したから損失確定できないといってずるずるいくパターンの人が多いように思います。
このような方は、まさに最初にお伝えしたプロスペクト理論に見事にはまっているのです。
確かに人間は利益を確定するより、損失を確定することがが難しい生き物なのでこの傾向はは強いと思います。
ここで私が参考にしている損切に対する考え方について紹介していきたいと思います。
ウォーレン・バフェットやピーター・リンチが損切りする時
ウォーレン・バフェットはいわずと知れた投資界の巨人でピーター・リンチはバフェットと並んで、
投資界で有名で神様とも呼ばれている著名ファンドマネージャーで運用ファンドの資産を700倍にしたことで有名な人です。
彼らに共通した見解としては、損切するのは元々立てたストラテジーが崩れた時というものです。
例えば、ロジック1でEPSが伸びることを予想していたのに一過性の要因ではなく、
構造的な要因例えば商品の魅力がなくなった等の要因で減益傾向となったという場合。
またロジック2で利益が20%で成長していくと想定したけども、
構造的な要因によって減益傾向となることが明らかになり理論株価が現在の株価を上回り投資する妙味が無くなった場合などです。
つまり、元々投資する株について上昇するロジックを持っていて、そのロジックと違う結果となることが確定的となった場合に、
その株に見切りをつけるのです。
注意しなければいけないのは、例え減益したとしても、それが成長投資を行ったこと等による一過性要因による減益で、
商品の魅力自体が変わっていない等の場合は寧ろ買い増しをすることも視野に入れている点です。
ひふみ投信のファンドマネージャー藤野氏が損切する時
最近彼の「投資バカの思考法」を読んでいて、彼の損切基準が参考になるものだったので紹介します。
彼は簿価を忘れて、現在の株価を見て今この株を買うべきかどうかを都度考えて買うべきではないと考えたら損切を行い、
買うと考える場合保有し続けるという方法を取っています。
過去ではなく今の株価から分析をして、保有する魅力があるかどうかを判断して損切するか、どうかを決めているんですね。
負ける確率が低い投資手法 (本格的バリュー株投資)
ロジック1の未来の株価やロジック2の現在の理論株価はEPSがいくら伸びるかとか企業がどれほど成長していくという仮定を元に算出しています。
つまり不確実な未来を予測してロジックを立てているわけですね。
これに対して、ウォーレン・バフェットの師のベンジャミン・グレアム氏は不確実な未来を予想するのは難しい為、
今現在を見て圧倒的に割安な株に投資することにより下落リスクを極小化させながら大きな利益を得ていきました。
以前、グレアム流の投資手法を実践しているファンドの事例についてはまとめていますので参考にしてみて下さい!
→ BMキャピタルの組み入れ銘柄は?過去のバリュー株投資事例(アクティビスト活動含む)
バリュー株投資の欠点
上記で説明した本格的なバリュー株投資の欠点は二つあります。
銘柄選定の難しさ
まず銘柄を見つけ出すのが難しいということです。
平凡なバリュー株投資のようにPERやPBRだけを見て銘柄を選ぶだけでなく財務諸表を精査しないといけませんし、
このような銘柄は誰も聞いたことのないような東証二部や地方証券取引所に多く存在している為です。
上昇するまでの時間
次にこれはグレアム自身も言及しているのですが下落する可能性は低い又は下落しても限定的ですが、
上昇するまでに時間がかかるという欠点があります。
先程述べたように、このような企業は誰も聞いたことのないような企業に多く市場から全く注目されていないのです。
証券会社が確りと分析してレポートでも出せば、即座に再評価されて適正な価格まで値上がりするのでしょうが、
時価総額が小さい為分析対象にならず市場から忘れ去られているのです。
この解決策としてグレアム自身、グレアム・ニューマンファンドというバフェット曰く世界初のヘッジファンドを作り、
該当企業の株を購入し自社株買や増配を促し市場からの脚光を浴びるように働き掛けました。
一旦脚光を浴びると、異常なレベルの割安さが明らかとなり急激に再評価が始まり大きな利益を生むことが出来るのです。
おすすめのバリュー株投資実践法
自分で必至に銘柄を探してバリュー株投資を実践するのも一つの手なのですが、
時間がない方や値上がりまでの時間を短縮して効率よく利益を上げたい方は、
現代のグレアム・ニューマンファンドのような投資ファンドへの投資をおすすめします。
私のポートフォリオの主軸を成している投資ファンドでは精緻にバリュー株投資を実践し、
能動的に企業に脚光があたるように経営者に働きかけて株価の上昇を促しています。
実際に創設以来6年間マイナス運用は半期ベースではなく、毎年平均して10%程度の利回りを上げ続けています。
一度預け入れるだけで東大卒外資系金融機関出身の腕利きのファンドマネージャーの運用を享受でき、
自身の労力を使うことなく、またファンドという資金力を活かして効率的にかつ着実に資産を殖やしていくことが出来ます。
また四半期に一度、何故その投資判断をしたかから売却に至るまでの経緯について自身の勉強にもなる示唆に富んだレポートが送付されてきます。
これから株式投資をはじめる予定だが、いきなり挑戦するのは怖いという方等は一回信頼できる投資ファンドにお金を預け入れ、
勉強しながら少額から自身での運用を始めてみるのも良いかもしれません。
ご自身で問い合わせを行いファンドの方から直接運用方針やこれまでの成績について説明をうけてみるとよいでしょう。
運用開始以来一度もマイナスを出さず、
平均して10%程度の投資利回りを上げているファンドについて興味のある方はランキング記事を参考にしてみてください!