2020年に発生したコロナショック以降、ハイテク企業が世界的に大きく上昇していきました。
そのため、日本でも日本のハイテク企業に投資をおこなっていた情報エレクトロニクスファンドが大きく基準価格を上昇させて評判となっています。
以下は2022年5月の最新のレポートを元にした基準価格の推移です。
本日は情報エレクトロニクスファンドが、
✔︎ どのような特徴を持ったファンドなのか?
✔︎ リスクとリターンは参考指数やハイテクファンドに比べて優っているのか?
✔︎ 今後の見通しはどうなっているのか?
という点についてお伝えしていきたいと思います。
情報エレクトロニクスファンドの特徴
ではまず特徴についてみていきたいと思います。
日本のハイテク企業群に投資
情報エレクトロニクスファンンドは名前の通り日本のハイテク企業に対して投資を行なっています。
わが国の⾦融商品取引所上場株式(これに準ずるものを含みます。)のうち、電気機器、精密 機器などエレクトロニクスに関連する企業群や情報ソフトサービス、通信など情報通信に関連 する企業群の株式を主要投資対象とします。
参照:交付目論見書
米国でイメージして頂けるとわかりやすいですが日本版のGAFAMのような企業に投資をしているということですね。
構成上位10銘柄とは?
では実際にどのような銘柄に投資をしているのかみていきたいと思います。以下が情報エレクトロニクスファンドの2022年2月末時点の構成上位10銘柄です。
上位10銘柄で57%に投資しているのでかなり多くの比率を割いていることになります。
順位 | 銘柄 | 業種 | 比率 |
1 | ソニー | 電気機器 | 9.0% |
2 | 任天堂 | その他製品 | 7.5% |
3 | アドバンテスト | 電気機器 | 7.3% |
4 | 新光電気工業 | 電気機器 | 6.8% |
5 | ジーエス・ユアサ | 電気機器 | 5.9% |
6 | 太陽誘電 | 電気機器 | 5.6% |
7 | 日立製作所 | 電気機器 | 4.3% |
8 | 東京エレクトロン | 電気機器 | 4.1% |
9 | 村田製作所 | 電気機器 | 3.4% |
10 | 島津製作所 | 精密機器 | 3.3% |
上位10銘柄合計 | 57.2% |
トップはソニーですね。まさに王道といえる選定でしょう。
ソニーはリーマンショック後に落ち込みましたが、その後順調に業績を回復させ今では最高益を達成するに至っています。
決算 | 売上 | 営業利 | 当期利 |
---|---|---|---|
2007/03 | 8,295,695 | 71,750 | 126,328 |
2008/03 | 8,871,414 | 374,482 | 369,435 |
2009/03 | 7,729,993 | -227,783 | -98,938 |
2010/03 | 7,213,998 | 31,772 | -40,802 |
2011/03 | 7,181,273 | 199,821 | -259,585 |
2012/03 | 6,493,212 | -67,275 | -456,660 |
2013/03 | 6,800,851 | 230,100 | 43,034 |
2014/03 | 7,767,266 | 26,495 | -128,369 |
2015/03 | 8,215,880 | 68,548 | -125,980 |
2016/03 | 8,105,712 | 294,197 | 147,791 |
2017/03 | 7,603,250 | 288,702 | 73,289 |
2018/03 | 8,543,982 | 734,860 | 490,794 |
2019/03 | 8,665,687 | 894,235 | 916,271 |
2020/03 | 8,259,885 | 845,459 | 582,191 |
2021/03 | 8,999,360 | 971,865 | 1,171,776 |
まさに日本のテクノロジーの中核を担う企業として外せない企業でしょう。
セグメント別にみるとゲーム事業の売上と利益が大きくなっていますがバランスのよい事業構成になっています。
2位の任天堂も同じくゲームの企業となっていることからも、日本がいかにゲーム領域で世界をリードしているのかという点が読み取れますね。
分配金を多く出す傾向にある
投資信託も株式と同様に分配金を拠出する銘柄が数多く存在しています。
情報エレクトロニクスは多くの配当金をだしています。年に1回ですが4%程度の分配金をだしています。
分配金をだした瞬間に20%の税金が差し引かれるので、全ての金額を受け取れるわけではありません。
そのため、貴重な複利効果を毀損する結果となってしまうのです。
コラム:モーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤー2020を受賞
情報エレクトロニクスファンドはモーニングスターの国内株式部門のファンド・オブ・ザ・イヤーに選出されています。
アクティブファンドとしては一般的な手数料水準
アクティブファンドは調査費用がかかるのでインデックスに投資するインデックスファンドに比べて高い手数料形態となっています。
→ インデックス型投信(=パッシブ)とアクティブ型投資信託はどっちがおすすめ?成績や手数料を中心に金融庁データをもとに徹底比較!
情報エレクトロニクスの手数料水準は以下の通りアクティブファンドの中では一般的な水準となっています。
購入手数料:2.2%(税込)
信託手数料:年率1.65%(税込)
情報エレクトロニクスファンドの運用リターンを分析
では肝心の情報エレクトロニクスファンドの運用実績をお伝えしていきたいと思います。以下の通り、情報エレクトロニクスファンドは30年の運用実績を誇ります。
アベノミクスまでは基準価格は減少していましたが、アベノミクスを契機として上昇しコロナショックを機にハイテク企業が世界的に上昇したことを受けて株価が急騰しています。
分配金をださない前提の成績が濃い青色になりますが、実際には分配金を出す時に税金が20%とられます。
そのため、投資家が得られるリターンは濃い青色と薄い青色の間となります。
分配金を出すことによってリターンが毀損してしまっているのです。データでみると以下となります。
過去10年でみると一番良い部分だけを切り取ることになるので以下の通り素晴らしい成績になります。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
10年 (年率) |
---|---|---|---|---|
トータル リターン |
55.61% | 23.92% | 23.28% | 20.55% |
標準偏差 | 15.73 | 21.29 | 17.77 | 19.82 |
10年間のリスクとリターンをもとにした今後1年間のリターンは確率毎に以下となると想定されます。
平均リターン:20.55%
リスク(=標準偏差):19.82%
【68.3%の確率】
平均値±標準偏差の範囲に収まる
0.73%(=20.55%-19.82%)
〜
40.37%(=20.55+19.82%)
【95.4%の確率】
平均値±(標準偏差×2)の範囲に収まる
△19.09%(=20.55%-19.82%×2)
〜
60.19%(=20.55+19.82%×2)
【99.7%の確率】
平均値±(標準偏差×3)の範囲に収まる
△38.91%(=20.55%-19.82%×2)
〜
80.01%(=20.55+19.82%×2)
ボラティリティは大きいので大きく下落する可能性も十分あることは気をつけないといけません。
情報エレクトロニクスファンドの今後の見通し
では今後に見通しを考えていきたいと思います。
テクノロジー銘柄というのは前回のITバブルの時もそうでしたが、勢いよく上昇する時はありますが結局調整をする宿命にあります。
右端を見ていただければ分かる通り、既に調整は始まっています。
今現在ハイテク株はコロナショック後のブームに乗って急騰していますが、米国でもハイテクの調整が起こり始めています。
特に金利の上昇が起きている局面ではグロース株は大きく下落する可能性が高くなります。
世界的にインフレが発生して金利が上昇していく局面ではグロース銘柄が多く存在しているハイテクセクターに集中投資は避けた方がよいでしょう。
まとめ
今回のポイントについて纏めると以下となります。
✔︎ 国内の電気機器、情報通信銘柄に投資
✔︎ 30年以上運用しているがアベノミクスまでは軟調な成績
✔︎ 分配金を4%程度だしており複利効果を毀損している
✔︎ 昨年ハイテク企業が上昇しすぎているため今後は厳しい可能性がある