地球温暖化問題は世界共通の問題です。
京都議定書、パリ協定書などで脱炭素の動きを明確化しても、実現できているとは言えない状況です。
人間が経済活動を行う上でエネルギーは必要不可欠ですね。
火力発電はCO2を大量に排出するし、原子力発電は福島原発の例もあり危険性が認識され敬遠されています。
そこで、注目されているのがクリーンテックです。
クリーンテックといえば太陽光発電やバイオマスエネルギー、電気自動車などが注目されています。
本日はクリーンテック関連企業に投資を行う投資信託「クリーンテック株式ファンド(資産成長型)」について取り上げます。
投資妙味があるのか?
今後の見通しは有望なのか?
という点を中心に紐解いていきたいと思います。
クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)の特徴とは?
まずは、投資信託「クリーンテック株式ファンド(資産成長型)」の特徴について見ていきたいと思います。
2000兆円以上の巨大市場が投資対象
クリーンテック株式ファンド(資産成長型)の投資対象は以下の4分野です。
事業分野 | 2050年時点の市場規模(予想) |
地球温暖化対策 | 約392兆円 |
環境汚染防止 | 約265兆円 |
廃棄物処理・資源有効活用 | 約1,390兆円 |
持続可能な食糧供給 | 約293兆円 |
投資対象は日本企業だけではなく、世界のクリーンテック企業を対象にしています。
具体的なイメージは以下の通りです。
運用はアクサ・インベストメント・マネージャーズが担当
販売は三井住友信託銀行ですが、運用はアクサ・インベストメント・マネージャーズが担当しています。
アクサは欧州に拠点を置く資産運用会社で運用資産残高は約9000億ユーロ(約125兆円)となっています。
日本の国家予算が約100兆円なので、いかに巨大な規模がわかりますね。
クリーンテック株式ファンドの構成上位銘柄
クリーンテック株式ファンドの構成上位銘柄は以下となっています。
銘柄名 | 国・地域 | 業種 | 構成比率 |
ダーリン・イングレディエンツ | 米国 | 生活必需品 | 3.9% |
ネクステラ・エナジー | 米国 | 交易事業 | 3.8% |
アメレスコ | 米国 | 資本財・サービス | 3.2% |
シュナイダーエレクトリック | フランス | 資本財・サービス | 3.0% |
ウイスト・コネクションズ | カナダ | 資本財・サービス | 3.0% |
エヴォクア・ウォーター・テクノロジー | 米国 | 資本財・サービス | 2.9% |
ディア | 米国 | 資本財・サービス | 2.8% |
サーモフィッシャー | 米国 | ヘルスケア | 2.8% |
TSMC | 台湾 | 情報技術 | 2.5% |
トリンブル | 米国 | 情報技術 | 2.4% |
トップのダーリン・イングレディエンツは肉加工製品の廃棄物や使用済み食用油などを収集・再利用し、非食用油脂やバイオディーゼルなどの製造を手がけている会社です。
株価は以下の通り現在調整局面に入っています。
2位のネクステラエナジーは風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電に強みがあるクリーンテックど真ん中の企業です。
株価は現在、停滞局面となっています。
国別でみると以下の通り米国が40%以上を占めています。しかし、日本が「その他」の中に入っているのは残念な限りですね。
国・地域別 | 比率 |
米国 | 44.6% |
オランダ | 7.8% |
イギリス | 7.2% |
ドイツ | 5.6% |
スペイン | 4.5% |
カナダ | 3.9% |
フランス | 3.0% |
デンマーク | 2.8% |
台湾 | 2.5% |
手数料 (販売手数料・信託手数料)
クリーンテック株式ファンドの手数料水準は以下となります。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.7171% (税込)
クリーンテック株式ファンド(資産成長型)の運用実績・基準価額の推移
では肝心のクリーンテック株式ファンドの運用実績についてみていきましょう。
2021年の後半から停滞して下落基調
以下はクリーンテック株式ファンドの基準価額の推移です。
運用開始以降2021年の後半までは堅調でしたが、そのあと停滞して下落しています。
ただ、まだ設定された2020年7月31日から37%上昇はしています。
ナスダック総合指数やS&P500指数と比較
約半分程度が米国株なので米国株の平均点であるS&P500指数と、組み入れ銘柄が多く含まれているハイテク中心のナスダック総合指数と比較したものが以下となります。
青:クリーンテック株式ファンド
赤:ナスダック総合指数
緑:S&P500指数
同じような動きをしていますが、両指数よりも上回っています。
アクティブファンドとしては合格ですね。
他のハイテク系のアクティブ投信と比較
他のハイテク投資信託との比較は以下となります。
以下をご覧いただければわかる通り、サイバーセキュリティ株式ファンドと同じく最高リターンとなっています。
価格の値動きがゆるやかなのでシャープレシオは一番高いですね。
青:クリーンテック株式ファンド
赤:ゼロコンタクト
緑:サイバーセキュリティ株式ファンド
黄:次世代通信関連世界株式ファンド
【関連】
クリーンテック投資の今後の見通しとは?
ご存知の通り、現在米国は金融引き締め中で株価は低下しています。
世界の60%を占める米国株市場に影響を受けて全般的に下落基調にあります。
中でも2020年から2021年に大きな上昇を遂げたハイテクグロース株が大きなダメージを受けています。
しかし、グロース系の中でもクリーンテック系はそもそもそこまで大きく上昇していなかったこともあり下落も比較的小さくなっています。
ただ、今後もしばらく米国のグロース投資は厳しい環境が続くことが想定されます。
インフレが沈静化する兆候はまだなく、FRBは引き続き引き締めを強化していくことを明確化しているからです。
筆者としては、テーマを絞ったファンドへの投資は長期投資という観点では全くおすすめできません。
テーマが盛り上がっているときは堅調に推移しますが、一旦ブームが過ぎると株価が急落する可能性が高いからです。
そして、再び盛り上がるのに時間がかかる、または盛り上がることなく終わることもあります。
投資対象は柔軟に、いつでもリターンを狙えるファンドに投資をすることをおすすめします。
以下では市場環境によらずリターンを狙えるファンドについて纏めていますので参考にしていただければと思います。