資産運用の知識

国債や社債といった債券投資はおすすめできる?金融環境をふまえてETFや債券投資信託を含めて検証する!

2022年5月18日

労働収入だけではなかなか資産が増えていかない。かといって副業で稼ぐのも難しい。では投資が最も有効だと考えるものの、できる限り元本は減らしたくない。

このような考え方をもっている方は債券投資を考える方が多いと思います。

 

債券は満期まで保有していれば、その間利子を貰えます。そのため、元本保証でインカムゲインが貰えるので魅力的に映りますね。

では、本当のところ債券投資は投資する価値があるのでしょうか?

 

本日は2021年の金融環境を前提におきながら、債券投資が果たして魅力的なのか?という観点を踏まえてお伝えしていきたいと思います。

 

コロナショックで日本だけでなく世界的に低金利環境となっている

まずは現状の環境認識からお伝えしていきたいと思います。

日本は日銀の金融緩和で長期間ゼロ金利政策をとっている

従来中央銀行は短期金利を政策金利として操作する政策をとっていました。しかし、日本銀行は2016年以降イールドカーブコントロールという長期金利をも操作する政策を採用しています。

 

実質金利低下の効果を長短金利の操作により追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな枠組みの中心に据えることとしました。

その手段としては、2016年1月のマイナス金利導入以降の経験により、日本銀行当座預金へのマイナス金利適用と長期国債の買入れの組み合わせが有効であることが明らかになりました。これに加えて、長短金利操作を円滑に行うための新しいオペレーション手段(指値オペ)を導入することとしました。

参照:日本銀行

 

現在は10年の国債金利が0%近傍となるように調整されています。イメージとしては以下となります。

イールドカーブコントロールの概念図

 

 

基本的に年限が大きくなるほど、不透明性が高まるので金利は高くなります。

10年国債ですら0%となっています。殆ど、国債での金利収入は見込めないといえるでしょう。

 

米国ですらコロナショックでゼロ金利政策が継続

コロナショックがおこるまでは先進国で最大の金利水準を提供しているのは米国でした。

しかし、コロナショックを受けて米国の中央銀行は短期金利である政策金利を一気に1%以上も低下させました。

 

FFレート

The effects of the coronavirus will weigh on economic activity in the near term and pose risks to the economic outlook. In light of these developments, the Committee decided to lower the target range for the federal funds rate to 0 to 1/4 percent.

参照:FRB

 

直近の2020年末の会合でも更に追加緩和を行うことを示唆しています。

 

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は25日、11月4~5日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。参加者の多くは会合で「米国債の購入増など、追加緩和が可能だ」などと指摘。早ければ12月中旬の次回会合で、量的緩和政策の拡充を検討する方針を表明した。

参照:日経新聞

 

コロナが一向に解決の目処がたたないので金利をFRBが引き上げることは考えにくいですね。実際に2023年まではゼロ金利を継続する見通しを明らかにしています。暫く低金利は続きそうですね。

 

【ニューヨーク=後藤達也】米連邦準備理事会(FRB)は16日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年末までゼロ金利を据え置くとの見通しを維持した。

参照:日経新聞

 

米国の政策金利は短期金利ですが、現在は長期金利も1%近辺という水準です。以下は米国債の10年金利の推移です。歴史上最低水準となっています。

米国の10年債金利の推移

 

10年債金利であっても殆ど投資妙味はない水準になっているのです。

 

国債と社債への投資はおすすめできない

では上記の金融環境を受けて債券投資をする旨味があるのかという点についてお伝えしていきます。

日本国債は殆どゼロ金利で社債の取り扱いも殆どない状況

先ほどの内容から想定できますが、個人向け国債の金利は年率0.05%です。

定期預金と同じレベルとなっています。殆ど資産が増えることはないのに、資金拘束を受けるので投資する価値はありません。

個人向け国債の金利水準

 

また、社債は以前ソフトバンクなどの社債が取引されていましたが、現在は大手ネット証券であっても取り扱いがない状態です。

もし、取り扱いがあったとしても現在は1%程度というレベルとなることが想定されます。

 

米国債や米社債でも1%近辺の利回り

次に米国の債券ですが楽天証券で取引できる債券は以下の通りです。

大手証券会社で取引できる米国債と米社債

 

25年近く資金が拘束される超長期債券であっても1.68%という水準です。10年国債で1%未満、社債であっても1%近傍という水準になっています。

利回りが1%であれば、残念ながら殆ど増えません。

 

break time :利率と利回りの違いとは?

利率と利回りの二つの数値が出ていますが、重要なのは利回りの方です。では利率と利回りの違いは何なのでしょうか?

債券には額面と実際の取引価格があります。100万円の額面の債券が95万円や105万円で取引されていたりします。額面は償還の時に、その価格が償還となる金額です。

額面に対して得られる利息の率のことを利子率と言います。

利率とは

 

 

取引価格と償還価格の差まで加味するのが利回りです。満期5年で額面100万円で利子率3%の債券を95万円で購入した場合の毎年のキャッシュフローは以下となります。

利回りとは

 

 

5年間の収益は以下となります。

5年分の利息収入:3万円×5年分=15万円
償還差益:100万円-95万円=5万円
合計:20万円

5年間の投資リターンは21%となります。

 

5年間の累積投資リターン=20万円/95万円=21%

年率リターンとして換算すると3.88%となります。(計算手法は複雑なので省きます)

要は投資家の最終リターンは利回りを見るのがよいということですね。

 

新興国債券は多大な為替リスクを負う

新興国債券は利回りは非常に高いものも存在しています。トルコ国債は11%を超える水準を提供しています。

新興国債券の利回り

 

 

ただ、これはあくまで現地通貨建の利回りです。トルコリラの相場の推移は以下の通り下落の一途をたどっています。

トルコリラ円のチャート

 

 

トルコ債で儲けた分以上を為替によって食いつぶされているのです。多大な為替リスクを負うことになりますので、もはや投機的な投資であると捉える必要があります。

 

 

債券ETFや債券投資信託も上昇余地がない

では他の債券ETFや債券投資信託についても見ていきましょう。

債券ETFは金利下落余地がない環境下で上値が限定的

債券ETFは株式市場と逆相関するため、今までは重宝されてきました。以下は全米株のETDであるVTIと米国長期債券ETFのTLTです。

株価が下落している時に債券があがってお互いが補完されていますよね。

VTI:全米株
TLT:米国長期債券

 

VTIとTLTの比較

 

しかし、この構図にも限界が生じているのです。債券ETFは金利が下落すればするほど、価格が上昇する仕組みとなっています。(コラム参照)

 

ただ、先ほどお伝えした通り米国の長期金利であっても1%程度のレベルです。今まで金利が一貫して下落しており債券ETFも右肩上がりで推移しました。

米国の10年債金利の推移

 

しかし、今はもう金利水準が下限となっているのです。今後債券ETFが上昇する余地も限定的となっているのです。

 

break time 金利が下落すると債券価格が上昇する仕組み

では債券金利と債券価格の関係についてお伝えしていきたいと思います。例えば現在金利が3%の債券を保有していると仮定します。

金利が4%に上昇した場合は、現在3%の金利の債券を保有する意味はないので魅力が低下して債券価格は下落します。

 

一方、金利が2%に下落した場合は、現在保有している3%の金利の債券を保有する妙味が高くなるため債券価格は上昇します。

金利と債券価格の関係

 

既に金利の下落余地が少なくなっているので、これ以上の上昇はなかなか見込みにくい環境となっているのです。

 

債券の投資信託は超低リターン

債券の投資信託も数多く取引されています。以下が楽天証券で取引できる債券投資信託を人気順にならべたものです。

 

債券の投資信託の人気順

 

主に先進国債券と国内債券にわかれます。先進国債券投資信託も国内債券投資信託も金利は下限に近いので先ほどのETFの議論と同じく上昇余地は少なくなっています。

たとえば、人気第1位のeMAXIS Slim 先進国債券インデックスのリターンは約3年間でプラス5%となっています。

そしてここからの上昇余地は金利が下限になっているので殆どないのです。

eMAXIS Slim先進国債券インデックスのリターンチャート

 

 

金利の上下で価格自体が変わるので、そもそも債券投資信託や債券ETFは元本保証ではないということも重要な点ですね。

国内債券投資信託については更に悲惨な結果となっています。

国内債券投資信託のチャート

 

 

元本保証に近い理論で運用する投資先への投資を検討しよう!

元本を守ることに主眼を置いて国債や社債に投資をするにしても、殆ど利回りが期待できないことをお伝えしてきました。

また、債券ETFや投資信託に関しては元本割れする可能性があることもお伝えしてきました。安全に資産を運用したいのであれば、別の選択肢を考える方が合理的なのです。

 

筆者が投資しているのは理論的に元本保証に近い運用手法で運用を行っているヘッジファンドです。簡単にお伝えすると、既に企業が保有している純現金性資産だけで時価総額より高い銘柄に投資をしています。

 

分かりやすく図解すると以下の通りとなります。

現金性資産から総負債を差し引いた純現金性資産

ベンジャミングレアムの本格的バリュー株投資が投資対象とする銘柄

 

 

 

わかりやすくいうと、借金返した後に現金1億円と「その他の資産」1億円を保有している企業を5000万円で購入するという手法をとっています。

 

理論的に元本が安全性が高いことはご理解いただけるかと思います。

実際、この手法で筆者の投資するファンドは2012年の運用開始から一度も下落することなく安定したパフォーマンスを上げています。

詳しくは以下でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

 

 

 

まとめ

今回のポイントをまとめると以下となります。

 

  • コロナショックで世界的に低金利となっている
  • 日本国債はほぼゼロ金利で社債の取り扱いは殆どない
  • 長期米国債や米社債でも1%程度
  • 新興国債券は為替リスクが甚大
  • 債券ETFや債券投信は上値余地が殆どない
  • 元本保証に近い株式投資手法も検討しよう

 

締め括り

 

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資産運用で資産を増やす方法は様々あります。効率を求めるのであれば、株式投資が最良の選択肢であることは疑いようのない事実です。

過去の歴史を見ると、それは火を見るより明らかです。「市場が伸びるところ」が最も効率よいです。苦労なく成果を挙げられます。

 

各資産の超長期リターン

 

しかし、株式投資も医者になるくらい勉強をしなければ勝てません。であれば、我々は早々にリスクの高い個別株投資という選択肢は捨てるべきです。

そして、投資のプロが運用する「ファンド」(投資信託、ETF、ヘッジファンド)を選ぶべきなのです。

ここでファンド選びが最も大切です。長年、筆者も資産運用を実施してきました。

 

結局は絶対にマイナスになる年を作らない、小さい利回りでも良いのでしっかりプラスを出す、それを長年続けるファンド。このようなファンドを活用することがベストプラクティスであり、正しい資産運用です。資産が強烈に伸びていきます。

 

上記の条件を主眼に置きながら、筆者のポートフォリオを構成するファンドを中心にランキング記事を作成してみましたので参考にしてみてください。

 

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