日本の投資信託(含むETF)分析

【ありがとう投信】税理士と会計士が立ち上げた「ありがとうファンド」を徹底評価!評判を含めて解剖する。

2022年5月13日

日本には「ひふみ投信」や「セゾン投信」を含めて様々な独立系の投資信託が存在しています。

その他にもコモンズファンドや鎌倉投信、更には「ありがとう投信」など多くの独立系投資信託があります。

 

今回取り上げるのは「ありがとう投信」が運用する「ありがとうファンド」についてです。

本日はそもそも「ありがとう投信」がどのような独立系投資信託なのかという点をお伝えした上で、「ありがとうファンド」について紐解いていきたいと思います。

 

「ありがとう投信」とは?

まずは運用会社である「ありがとう投信」についてお伝えしていきたいと思います。

 

会計士と税理士によって設立

「ありがとう投信」は2004年に税理士と会計士によって設立されました。

設立の理念は日本が長期的な資産運用を行う手段が不足しているというものでした。確かに日本には根強い預金文化が根付いています。

米国では半数近くを株式等のリスク資産に配分していますが、日本では僅か20%未満にとどまっています。

 

日米英の金融資産の構成比率の比較

 

結果として欧米では資産が増加しているにも関わらず、日本の資産の増加の幅は非常に緩やかなものに止まってしまっています。

日米英の金融資産の伸びの推移

 

長期投資をすることで資産を形成することが必要不可欠な時代の到来を受けて、その受け皿となるべく設立されたということですね。

 

欧米の資産運用を参考にしている

ありがとう投信は設立にあたり欧米視察を行っています。そのため、金融先進国である欧米の優れたファンドを組み入れて運用を行っています。

 

ありがとう投信は独立系の資産運用会社としての強みを生かして、大手金融機関グループや系列の慣習や常識に縛られることなく、欧米の優れた実績のあるファンドを厳選して長期国際分散投資していく『ありがとうファンド』の運用をスタートさせました。

参照:ありがとう投信

 

「ありがとうファンド」の特徴とは?

では本題の「ありがとう投信」が運用する「ありがとうファンド」について見ていきたいと思います。

「長期投資」「国際分散投資」「厳選投資」

「ありがとうファンド」の投資方針としては「長期投資」「国際分散投資」「厳選投資」の3つとしています。

 

【長期投資が基本】

世界経済と株式市場は短期的には上下しながらも長期的には右肩上がりとなっています。長期的な目線で投資を行う方針としています。

 

【国際分散投資】

日本だけでなく世界の株や債券に分散投資をする方針としています。

 

【ファンド・オブ・ファンズ投資】

ありがとうファンドは優良ファンドに分散投資をする方針としています。セゾン資産形成の達人ファンドと同じ運用方針ですね。

 

長期投資を謳っているのは正直言い訳のような感想を抱きます。本当に運用に自信があるなら下落局面であっても資産をできる限り減らさないことが重要です。

以下では市場環境によらずリターンを狙えるファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

 

欧州株と新興国株に多くの比率を割いている

以下は「ありがとうファンド」のポートフォリオです。

 

銘柄 資産クラス 比率
アライアンス・
バーンスタイン-アメリカン・
グロース・
ポートフォリオ
先進国株式
(米国)
18.5%
アリアンツ・ユーロランド・
エクイティ・グロース
先進国株式
(欧州)
17.2%
アバディーン・スタンダード・
ノースアメリカン・
スモーラーカンパニーズ・ファンド
北米小型株式 12.1%
アバディーン・
スタンダード-エマージング・
マーケッツ・
スモーラーカンパニーズ・ファンド
新興国小型株式 11.2%
アライアンス・バーンスタイン-エマージング・
マーケッツ・マルチアセット・
ポートフォリオ
新興国株式
及び債券
9.4%
アリアンツ・ヨーロッパ・
エクイティ・グロース・セレクト
先進国株式
(欧州)
8.7%
アリアンツ・グローバル・
エクイティ・グロース
世界株式 8.0%
アライアンス・
バーンスタイン-エマージング・
マーケッツ・
ロウ・ボラティリティ・
エクイティ・ポートフォリオ
新興国株式 6.7%
コムジェスト日本株式ファンド 日本株式 4.4%
iシェアーズ ゴールド・トラスト 金ETF 2.2%
SPDRゴールド・
ミニシェアーズ・トラスト
金ETF 0.7%

参照:交付目論見書

わかりやすく属性ごとに分類すると以下となります。債券には殆ど投資しておらず、欧州株と新興国株が多いのが特徴となっています。

現在の株式市場では米国株が60%くらいの時価総額を占めているので米国株はアンダーウェイトしているという特徴があります。

一方、新興国株式は世界の株式市場では全体の10%程度しかしめていないので、「ありがとうファンド」が新興国株式市場に期待していることが分かります。

 

ありがとう投信のポートフォリオ

構成比率
国内株 3.8%
先進国 66.4%
新興国株 20.7%
新興国債券 2.3%
現金 6.9%%

 

 

「ありがとうファンド」のリターンとリスク

では肝心な「ありがとうファンド」のリターンについて見ていきたいと思います。

ありがとうファンドの基準価額

1年 3年 5年 10年 設定来
リターン +42.5% +49.0% +94.7% +211% +173%

 

17年間で173%のリターンなので、年率平均リターンは6.0%となります。

なお、この間の標準偏差は15.0%となっているので今後1年間に見込まれるリターンは確率毎に以下の通りとなっています。

 

平均リターン:6%
リスク(=標準偏差):15%

【68.3%の確率】

平均値±標準偏差の範囲に収まる

▲9%(=6%-15%) 〜 21%(=6%+15%)

【95.4%の確率】

平均値±(標準偏差×2)の範囲に収まる

▲24%(=6%-15%×2) 〜 36%(=6%+15%×2)

【99.7%の確率】

平均値±(標準偏差×3)の範囲に収まる

▲39%(=6%-15%×3) 〜 51%(=6%+15%×3)

 

最大で40%ほどのマイナスを覚悟する必要があるという点は頭に留めておきましょう。

全世界株式に対しては残念ながら劣ったパフォーマンスとなっている

ありがとうファンドは全世界株式に分散投資しているので全世界株式に対して相対的なパフォーマンスが上回っている必要があります。

以下は「ありがとうファンド」と全世界株式に投資しているeMAXIS全世界株式とTOPIXの比較です。

青:ありがとうファンド
緑:eMAXIS全世界株式
赤:TOPIX

ありがとうファンドと全世界株式の比較

 

TOPIXに対しては優れたパフォーマンスをだしていますが、全世界株式には劣後したリターンとなってしまっています。

 

「ひふみ投信」等の独立系投資信託と比較

では「ありがとうファンド」と他の独立系投資信託を比較して見ましょう。過去10年の比較は以下となります。

青色:ありがとうファンド
赤色:ひふみ投信
緑色:セゾン資産形成の達人ファンド
黄色:さわかみファンド

ありがとうファンドと他の独立系投資信託の過去10年の比較

 

圧倒的にひふみ投信とセゾン資産形成の達人ファンドが良い成績を納めています。しかし、直近3年でみるとまた景色が変わってきます。

青色:ありがとうファンド
赤色:ひふみ投信
緑色:セゾン資産形成の達人ファンド
黄色:さわかみファンド

過去3年のありがとうファンドと他の独立系投資信託の比較

 

ありがとうファンドとセゾン資産形成の達人ファンドが高い成績となっており、ひふみ投信は沈んでいます。

ただ、どのファンドも価格変動の大きさは否めませんね。

 

まとめ

ありがとうファンドはファンド・オブ・ファンズ形式で世界の株式に分散投資している独立系の投資信託です。欧州株式と新興国株式の比率を高めています。

リターンとしては全世界株式に劣後したリターンとなっており、特に投資する妙味はないという印象を受けました。

以下では筆者の観点から長期投資におすすめできるファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います!

締め括り

 

堅実複利運用

おすすめ投資先ランキング

長期で資産を着実に育てる

 

資産運用で資産を増やす方法は様々あります。効率を求めるのであれば、株式投資が最良の選択肢であることは疑いようのない事実です。

過去の歴史を見ると、それは火を見るより明らかです。「市場が伸びるところ」が最も効率よいです。苦労なく成果を挙げられます。

 

各資産の超長期リターン

 

しかし、株式投資も医者になるくらい勉強をしなければ勝てません。であれば、我々は早々にリスクの高い個別株投資という選択肢は捨てるべきです。

そして、投資のプロが運用する「ファンド」(投資信託、ETF、ヘッジファンド)を選ぶべきなのです。

ここでファンド選びが最も大切です。長年、筆者も資産運用を実施してきました。

 

結局は絶対にマイナスになる年を作らない、小さい利回りでも良いのでしっかりプラスを出す、それを長年続けるファンド。このようなファンドを活用することがベストプラクティスであり、正しい資産運用です。資産が強烈に伸びていきます。

 

上記の条件を主眼に置きながら、筆者のポートフォリオを構成するファンドを中心にランキング記事を作成してみましたので参考にしてみてください。

 

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