7000万円というと1億円が現実的なラインとなってくる水準かと思います。筆者も35歳くらいの時に資産7000万円を達成しましたが、資産の増加速度が速くなったなと感じた時期でもありました。
7000万円保有している方はリタイアも見据え始めている方もいらっしゃることと思います。
では、かなりの上位層である世帯資産7000万円の皆さんはリタイアすることができるのでしょうか?
今回はリタイアの可能性とリタイアするために必要なことについてお伝えしていきたいと思います。
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金融資産7000万円〜8000万円ある世帯の割合とは?
まず自信を持っていただきたいと思います。貯金7000万円を蓄えられた方は素直に凄い貯蓄力があるといえます。
では実際にどれくらいの方は資産7000万円を構築しているのかみていきたいと思います。
全世帯の2.5%程度の割合で資産7000万円を保有
以下は7500万円以上の資産を構築している世帯の比率です。2.1%となっています。
7000万円と読み替えても2.5%程度ということが想定されます。
クラスに1人の割合で存在するというレベルですね。
年齢別(30歳代、40歳代、50歳代、60歳代)で貯蓄7000万円ある世帯の割合は?
では年齢別にみるとどのような分布になってるでしょうか?
同じく総務省の統計を元にみていきたいと思います。
35歳未満 | 35~44 | 45~54 | 55~64 | 65〜74 | 75歳以上 | |
25万円未満 | 35% | 27% | 20% | 10% | 6% | 5% |
25~50万円 | 6% | 2% | 1% | 1% | 0% | 1% |
50~100万円 | 7% | 3% | 2% | 1% | 1% | 1% |
100~150万円 | 7% | 3% | 2% | 1% | 1% | 1% |
150~200万円 | 4% | 3% | 2% | 1% | 1% | 1% |
200~300万円 | 9% | 4% | 3% | 2% | 1% | 2% |
300~450万円 | 7% | 5% | 4% | 3% | 2% | 2% |
450~600万円 | 4% | 5% | 4% | 3% | 3% | 2% |
600~750万円 | 4% | 4% | 4% | 3% | 2% | 3% |
750~900万円 | 2% | 4% | 3% | 3% | 3% | 3% |
900~1200万円 | 3% | 6% | 6% | 6% | 6% | 6% |
1200~1500万円 | 2% | 5% | 5% | 5% | 6% | 6% |
1500~2000万円 | 2% | 8% | 8% | 8% | 9% | 9% |
2000~3000万円 | 4% | 8% | 11% | 13% | 14% | 14% |
3000~4000万円 | 1% | 4% | 7% | 10% | 11% | 11% |
4000~5000万円 | 1% | 4% | 5% | 7% | 8% | 8% |
5000~7500万円 | 1% | 3% | 7% | 12% | 13% | 12% |
7500~10000万円 | 0% | 1% | 2% | 5% | 5% | 6% |
10000万円以上 | 0% | 2% | 4% | 7% | 8% | 8% |
7500万円以上計 | 0.6% | 2.6% | 6.0% | 11.3% | 13.8% | 14.0% |
比率が多いのは退職金や遺産をうけとった高齢者世代ということが分かります。30代や40代で資産7000万円を保有する方は非常に少ないということですね。
7000万円の資産を築ける人はかなり限られていて、以下の属性の方々がほとんどでしょう。
- エリートサラリーマンで長期の駐在生活と資産運用がうまくいった
- 若手経営者
- コミッション営業社員
- 早期遺産相続
- 仮想通貨など投資が大当たり
ただ、7000万円は大きい数字ですが、実際に悠々自適に暮らせるほどの資産なのでしょうか?
30-40歳代で資産7000万円でセミリタイアすると精神的余裕は全くない
まず30代から40代のバリバリの現役世代のケースですが正直7000万円でリタイアするのは心もとないです。東京で子持ちで生活することを考えると、はっきりいって全然足らないという水準です。
以下は総務省が発表している現役世代の家計収支です。
消費支出と保険や税金の支出を合計すると、平均的な支出の合計は41.2万円という結果になっています。
年間だと494万円となり、約500万円が必要となります。
7000万円の資産は何もしなければ、14年で食いつぶしてしまうことになります。更に、上記の資産はあくまで平均的な資産です。各支出の具体的な数値を見てみましょう。
税金・保険料 | 99,405円 |
食費 | 74,507円 |
住居 | 18,470円 |
光熱・水道 | 21,287円 |
家具・家事用品 | 10,956円 |
被服費 | 13,148円 |
医療費 | 11,583円 |
交通・通信 | 49,463円 |
教育 | 19,096円 |
教養娯楽 | 30,679円 |
その他(交際費等) | 63,863円 |
合計 | 412,457円 |
上記の赤字で記した金額については7000万円の貯金がある人から考えると、非常に少ない金額ではないでしょうか。
特に東京に住んでいる場合の住居費は子供二人いると20万円は最低でもかかります。また、教育費も子供の教育に力をいれると月間10万円はかかります。
教養娯楽費と合わせて6万円の追加支出になります。以下が上記の点を含めて調整したデータです。
元データ | 調整データ | |
税金・保険料 | 99,405 | 100,000 |
食費 | 74,507 | 80,000 |
住居 | 18,470 | 200,000 |
光熱・水道 | 21,287 | 22,000 |
家具・家事用品 | 10,956 | 11,000 |
被服費 | 13,148 | 14,000 |
医療費 | 11,583 | 12,000 |
交通・通信 | 49,463 | 50,000 |
教育 | 19,096 | 100,000 |
教養娯楽 | 30,679 | 60,000 |
その他(交際費等) | 63,863 | 100,000 |
合計(月間) | 412,457 | 749,000 |
合計(年間) | 4,949,484 約500万円 |
8,988,000 約900万円 |
すると年間の支出は900万円となり8年間で消化される算定となります。とてもリタイアすることはできませんね。
投資収益で暮らすとしても、仮に6000万円分を投資に回して上手く10%の運用ができたとしても税後で480万円です。
もし、投資で損失を出してしまえば一気に苦しくなります。必ず利益がでるとは限らないのが投資の妙です。労働生産年齢真っ只中で資産7000万円でリタイアするのは危険ということです。
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独身であれば貯金7000万円でリタイアするのは可能なのか?
上記は家族がいる世帯での話です。では独身では可能なのかという観点で考えてみたいと思います。
参考になるのは高齢無職世帯の消費支出です。
このデータを消費が多い現役世代流に読み替えた表が以下となります。
税金に関してはリタイアした場合に発生する国民年金と健康保険料の概算となります。
総務省データ 老後単身世帯 |
現役世代 大都市圏 |
現役世代 地方 |
|
食料 | 36,615 | 70,000 | 50,000 |
住居 | 12,383 | 120,000 | 30,000 |
水道光熱 | 12,915 | 13,000 | 13,000 |
家具・家事用品 | 5,326 | 5,000 | 5,000 |
被服費 | 3,196 | 10,000 | 10,000 |
保険医療 | 8,255 | 8,000 | 8,000 |
交通通信 | 11,983 | 12,000 | 20,000 |
教養娯楽 | 12,915 | 20,000 | 10,000 |
交際費 | 15,312 | 30,000 | 20,000 |
その他 | 14,247 | 20,000 | 15,000 |
税金等 | 11,541 | 20,000 | 20,000 |
合計(月額) | 144,687 | 328,000 | 201,000 |
合計(年額) | 1,736,244 | 3,936,000 394万円 |
2,412,000 241万円 |
7000万円から得られる資本所得は以下となります。
3% | 4% | 5% | |
税前 | 210万円 | 280万円 | 350万円 |
税後 | 168万円 | 224万円 | 280万円 |
資本所得を有史以来の平均的な4%と考えると地方であっても独身でリタイアすることは難しそうですね。
上記は7000万円全額を投資した場合ですから、通常であれば更に小さい数値になります。独身でも現役世代であればリタイアすることはおすすめしません。
55歳での早期リタイアは老後資金的には現実的(退職金の観点から50歳はまだ厳しい)
若い時代でのリタイアは現実的ではありませんが、55歳での早期リタイアは現実的になってきます。
早期リタイアすると2500万円程度の多くの退職一時金を貰えますので、合計で9500万円と1億円に近い資産を保有することができます。
また、その頃には子供も独り立ちしているので家賃や学費も抑えられ年間500万円程度の支出で事足りることとなります。
65歳から月額約30万円の年金を貰えるので、年間150万円程度の消化で抑えられます。
投資を組み合わせることで殆ど資産を減らさずに老後生活を送ることができます。以下でも詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
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60歳で貯蓄7000万円では不十分!?7000万円を運用して老後資産1億5000万円を構築しよう
老後資産は最低でも1億円は欲しいという点については、以前老後2000万円問題の問題点を含めてお伝えしています。
しかし、出来れば安全圏である1億5000万円を構築したいところです。
1億5000万円あればアーリーリタイアしても100歳まで安泰
平均的な高齢無職世帯の家計収支は以下となります。
平均では不足額は54,519円となっています。ここで先ほどと同様に貯蓄が7000万円形成できている世帯向けに以下の試算を付け加えます。
- 家賃は追加で15万円を見込む
- 交際費も追加で5万円見込む
- 税金等の非消費支出は4万円を見込む
- 年金収入は追加で10万円を見込む
これらを加味すると月間の不足金額は19.5万円となります。年間だと約240万円ですね。仮に50歳でアーリーリタイアしても100歳までにかかる費用は以下となります。
50歳〜64歳 | 7000万円(500万円×14年) |
65歳〜100歳 | 8400万円(240万円×35年) |
合計 | 1億5400万円 |
50歳時点で1億5000万円あれば通り崩しだけでも十分老後は凌げることになります。
7000万円を複利運用すれば1億5000万円は容易に達成可能
貯金7000万円構築できた方であれば、年間400万円ずつ元本を蓄えることは可能だと思います。
毎年追加で500万円投資しながら年率5%と7%と10%で運用した場合の試算の推移は以下となります。
5%運用 | 7%運用 | 10%運用 | |
1年目 | 7750 | 7890 | 8100 |
2年目 | 8538 | 8842 | 9310 |
3年目 | 9364 | 9861 | 10641 |
4年目 | 10233 | 10952 | 12105 |
5年目 | 11144 | 12118 | 13716 |
6年目 | 12101 | 13366 | 15487 |
7年目 | 13107 | 14702 | 17436 |
8年目 | 14162 | 16131 | 19579 |
9年目 | 15270 | 17660 | 21937 |
年率10%で運用できればたったの6年で、5%で運用しても9年で1億5000万円の資産が達成可能です。
5%-10%を安定的に達成する投資先とは?
では5%-10%で安定的に運用するためには何で投資をすればよいでしょうか?
株価指数に対してプラスのリターンを目指すアクティブ型の投資信託は株価指数よりも低いリターンとなっており適切な投資先ではありません。以下は金融庁のレポートの結果です。
分類 | 5年累積 リターン平均(%) |
5年シャープ レシオ平均 |
全ファンド (インデックス型) |
22.6 | 0.4 |
全ファンド (アクティブ型) |
9.7 | 0.2 |
では株式指数に投資をすればよいかというと、ことは単純ではありません。株価指数は度々暴落を繰り返します。
以下は1929年からのS&P500指数の年次リターンですが、度々暴落を経験しています。
40%下落する時もあるのです。時には複数年にわたって下落が継続することもあります。
数百万円の投資金額であれば大きな損失とはなりませんが、7000万円を投資して40%の下落を被れば気絶するほどの含み損を抱えます。
2023年もインデックス投資は厳しい展開が想定されている
2021年後半から始まった50年ぶりのインフレに対応するために米国の中央銀行FRBは金利を引き上げていきました。
さらにFRBの資産圧縮もあり相場から資金が吸収され、株価は大きく下落していきました。
2023年に入りインフレが鈍化を始めたことで徐々に底打ちの様相を呈していますが、地獄は近づいてきているように思います。
理由としては急激な金利引き上げにともない経済活動が縮小を開始しており、今後景気後退となる可能性が高まっているためです。
2023年9月現在、1年後の景気後退確率は急激に上昇しており70%近くになっています。
景気後退となれば当然、企業業績が悪化するので株価は大きく下落していきます。
更に景気後退時には米金利も下落していくので日米金利差も縮小し、ドル円も下落していきます。つまり円建のインデックスはダブルパンチを食らうことになります。
そして、景気後退を救うためにFRBが我慢できずに金融緩和を再開してしまうとインフレ第二波へと突入していきます。
1970年代は実際、早急な緩和を実施したことで3回にわたりインフレが発生しました。
結果として10年間株価指数は上昇せずに終了しました。局面によっては半値になる時もありました。
ここからしばらくインデックス投資は苦難の時を迎えるといっても過言ではないでしょう。
5%-10%を安定的に達成する投資先とは?
一番重要なのは大きな下落を被ることなく安定したリターンを出すことです。とはいっても現在の債券金利は米国債ですら3%あるかないかの水準ですし為替リスクも負います。
高いリターンを狙いながら、安全に投資をする方法として最も魅力的な選択肢がヘッジファンドです。
→ 日本でも知名度上昇中のヘッジファンドとは?投資信託との違い・投資手法・運用を任せるリスクと失敗するファンド選びについて簡単にわかりやすく解説
ヘッジファンドは下落耐性高く、長期的に株価指数よりも高い成績を上げています。
流石にリーマンショックの時には大きく下落していますが、株価指数に比べると下落幅は大きく抑制されていますね。
筆者の場合は国内で老舗とされているヘッジファンド、BMキャピタルに投資をして運用リターンを確保しています。
BMキャピタルのパフォーマンスとして、平均利回りは10%以上。
投資対象は日本株式市場に存在する「バリュー株(割安銘柄)」です。BMキャピタルの最大の強みであり、筆者が投資家として最も魅力を感じているのがその下落耐性の高さです。
以下は筆者がBMキャピタルに投資してからのTOPIX(日本株価指数)の値動きです。
赤丸で囲った暴落局面を一度もマイナスを被ることなく、BMキャピタルは下落せずに運用を継続してくれています。
資産運用において最も大切なのは、とにかく損失を出さないことです。損失を出さなければ、たとえプラスが小さくても複利の力により凄まじいリターンに化ています。これが筆者がこの10年で実感してきたことです。派手なリターンはいらないのです。
世界最大のヘッジファンド、そして帝王・レイダリオがファンドマネジャーを務めるBridge Waterのパフォーマンスなどを見ると、如何に株式市場が暴落している局面でマイナスを出さないことを意識しているかがわかると思います。
最高の運用とはマイナスを出さないことであり、派手なリターンを狙って大損する可能性を秘めている時点でそれは良い投資ではなくなっているのです。

Bridge Waterのパフォーマンス
BMキャピタルの概要は以下ですが、詳細は面談で直接聞くのが早いかと思われます。
(クリックして拡大↓)
その他、上記のBMキャピタルが筆頭ではありますが、以下で日本人の個人投資家でも投資できるヘッジファンドについてお伝えしています。
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【BMキャピタル】年利10パーセント?日本国内ヘッジファンド「BM CAPITAL」の実態とは?運用実績や投資手法を実際の投資家がわかりやすく解説!
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まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
- 貯金7000万円では30代〜40代ではリタイアできない
- 7000万円あれば55歳でアーリーリタイアは可能
- 1億5000万円あれば余裕をもったリタイアが可能
- 7000万円を追加投資しながら運用すれば9年以内に1.5億円は構築可能
- 安定的に暴落を免れる投資先に投資をしてリタイアを目指そう!
7000万円あれば、1億円は工夫次第で早期に到達可能です。無駄のない、複利を活かしたパワフルな資産形成をしていきましょう。